近年、ドイツでは小売業界の万引き被害が深刻化している。独小売業研究所(EHI)の推計では、2024年のドイツ小売業界における万引き被害額は過去最高の約30億ユーロ(約5550億円)となった。この金額は帳簿上と実際の在庫の差額である「棚卸減耗損」の金額を、ドイツで合計1万7000店舗以上を展開する約100社に調査して算出された。その差額の計約50億ユーロ(約9250億円)のうち、企業による誤記録などのミスが15%、従業員やサプライヤーによる横領が25%で、残りが顧客による窃盗とされた。24年に警察に通報された万引き件数は40万件だったが、EHIは気づかれなかったものを含め、実際には約2500万件あり、1件あたりの平均被害額は約120ユーロ(約2万円)と推定。食品小売りが圧倒的に被害額が大きい。
警察の認知件数は氷山の一角でしかないが、深刻なのは凶器携帯や器物破損などを伴う「悪質な万引き」の通報が2万500件以上と、過去最高水準にあることだ。犯罪集団による組織的な窃盗が増加していると見られ、EHIによると万引き被害の約3分の1を組織犯が占める。指示を受けた単独犯、あるいは役割を分担した集団による犯行があり、再販価値の高い高級酒、香水、タバコ、電子機器、ブランド衣料等が狙われやすい。特殊な道具で電子防犯タグを無効化したり、摘発した従業員に暴力を振るったりするなど悪質だ。抜本的な対策がなければ、犯罪集団による窃盗は増加すると小売業界は見込む。


















