キンレイが業績拡大に向け、アクセルを踏み込む。昨年4月に開設した亀山工場(三重県)が順調に稼働し、1年が経過した今年4月からは稼働時間を延長、需要に応える生産体制を強化する。さらに今期は創業50周年を記念したキャンペーンやテレビCMなどのプロモーションを過去最大規模で展開。メモリアルイヤーをはずみに成長の勢いを加速させる。
7月に都内で記者会見を開いた。キンレイの2025年3月期の売上高(食品事業)は前期比108.9%の170億円で着地。販路別では量販が117.4%の80億円、生協が108.5%の41億円となり、全体を押し上げた。
今26年3月期の目標は180億円(105.5%)と策定。量販88億円(109.6%)、コンビニ43億円(103.5%)、生協41億円(100.0%)、業務用その他8億円(104.2%)と、全販路で前年クリアを見込む。
キンレイの主力冷凍麺「お水がいらない」シリーズは、この1Qも前期比104.0%と好調に推移している。競合と比較して認知からの購入・リピート率が高いのが同シリーズの強みだが、一方で「間口である認知度が低い」との課題があった。そこで今期は商品を購入したことがない未顧客へのアプローチに注力。昨年12月に創業50周年を迎えたことも絡め、久々のテレビCMを10月13日から31日の期間で投下する。
さらに、総勢1万2300名へのプレゼントキャンペーン「50周年大感謝祭」を8月19日から来年5月7日まで展開する。対象商品を購入すると付与されるポイントに応じて応募コースが選べるもので、景品として500円相当のデジタルギフトやプレミアム丼セットなどの記念品を用意する。このほか、オンライン上に「50周年特設サイト」を開設。今後半年ほどをかけて、おいしさへのこだわりに関する記事などを掲載予定だ。
冷凍麺市場のさらなる成長を見込み、その中でキンレイも存在感を高めるべく、今期から新たな中期経営方針も策定した。期限は区切らず、二つの柱である「CSR方針に基づく人的資本への強化」と「数から質への転換」に向かって取り組みを深めていく。
白潟昌彦社長(冒頭写真左)は「これまで工場への設備投資を積極的にしてきたが、人への投資は不十分だったと個人的には思っている。良いモノづくりは良い人づくりから、という言葉に立ち返る。また単純に販売食数を増やすことを目指すのではなく、お客様への提供価値を大きくすることを一番の目標にする」と力を込めた。
