中国のEC(電子商取引)最大手アリババグループは11月21日、「アリババeコマース事業グループ」を新たに設立した。これまで個別に運営されていた複数のeコマース事業を統合して、グローバルサプライチェーンでの競争力を強化し、中小企業(SME)の成長を支援する体制を強化する。

 それぞれ独立したプラットフォームである淘宝(タオバオ)、天猫(Tモール)、アリエクスプレス、アリババ・ドットコム、ラザダ、トレンディオール、1688ドットコム、アイドルフィッシュを包括する。事業間の連携を強化することで、国内外でのシナジー向上を狙っている。

 統合したグループのCEOには蒋凡(ジャン・ファン)氏が任命され、アリババグループのCEOである呉泳銘(エディ・ウー)氏の直属となる。アリババのeコマース事業を一元管理する初の試みであり、競争の激しいeコマース市場での優位性を確保するための重要な施策と位置づけている。

 アリババは今年の「11.11(独身の日)」セールで総取扱高(GMV)が記録的な成果を上げた。特に、淘宝が香港向けに99人民元以上の注文に対して送料無料を実施したことで、同地域の売り上げが大幅に増加。また、アリエクスプレスの「チョイス」サービスの成長が国際コマース事業を牽引し、直近四半期(2024年7~9月期)は前年比29%増収を達成している。

 呉泳銘CEOは「EコマースとAIは、アリババにとって最も重要な戦略的方向性だ」と内部書簡で述べている。全社的な戦略としてAIへの投資を増加させ、AIインフラおよびサポートシステムの強化や、オープン性とオープンソースへの取り組みを維持する。  

 「Eコマース + AI」というコア戦略的柱のもと、アリババは「B(法人)向け」および「C(個人)向け」セクターでのAI製品開発への投資を継続する。