和の伝統食材と鰹節だしで新たな味わいをアピール

 にんべんは、前期に続き今期も、鰹節専門店ならではのだしにこだわった付加価値品で新たな需要喚起を図る。その柱となるのが、今期、家庭用事業部の春夏新商品として投入する個食のめんつゆ「和の味わいシリーズ」の2品、「梅しそかつおめんつゆ」(冒頭写真左)と「黒酢玉ねぎめんつゆ」(同右、いずれも50mL×3袋入り:税抜き210円)だ。

 昨年、にんべんでは同シリーズを立ち上げ、「鰹節だしと和の香辛料」をコンセプトに、「一味唐辛子めんつゆ」と「柚子胡椒めんつゆ」を新発売したところ、導入店舗での販売が好調に推移、リピーターの獲得にもつながった。そこで今年は、「鰹節だしと和の伝統食品」として、「梅しそ」と「黒酢」を使った商品を発売し、さらなる市場開拓に乗り出した。

 同シリーズ開発の背景にあるのが、真夏日の長期化だ。商品サービス企画部の外山浩二部長によれば、「近年、真夏日が長期化し、冷たい麺類を食べる機会が増えている。そうなると、同じ味ばかりでは飽きてしまうため、変わった味を楽しみたいというニーズが生まれてくる。そこで、昨年は〝辛味〟を、今年は〝酸味〟をそれぞれ前面に押し出した商品を発売した」という。

 今回、酸味の食材として梅と黒酢を選んだのは、いずれも市場の成長が期待される食材だからだ。「梅を使っためんつゆは他社製品も発売されており、市場自体が大きく伸びている。一方、黒酢は、既存商品はまだないものの、検索キーワードとして上位に挙がっており、市場ニーズの高まりが見られる。こうした理由からいずれも需要拡大が見込めるとして、商品の投入を決めた」(外山部長)

 素材の選定に当たっては、鰹節専門店のだしの持つイメージにマッチするよう、「梅しそかつおめんつゆ」には、梅のブランド品である紀州産南高梅と国産の赤しそを、「黒酢玉ねぎめんつゆ」には国産玄米のみを発酵・熟成させた黒酢をそれぞれ採用した。

 商品パッケージの裏面には、商品の食べ方を掲載。冷凍うどんをレンジ解凍して、本商品を混ぜ合わせるだけで完成することを紹介し、火を使わずに作れる猛暑日のメニューとしても訴求する。さらに、いずれの商品も1人前3袋入りで、複数の種類を買い置けば、毎回異なる味を手軽に楽しめることから、そうした利便性もアピールする方針だ。暑さが始まる5~6月には酸味の2品で夏バテ対策を、一方、暑さが本番となる7月以降は辛味の2品で食欲増進をそれぞれ訴えるSNSでの情報発信も検討、初夏から盛夏まで夏全体での利用を促していく。

 商品は、全国7500店舗に導入見込み。「昨年発売の辛味に加え、酸味を発売することで『和の味わいシリーズ』が4品に増え、店頭での視認性が高まり、販売につながる」(外山部長)うえ、新商品の投入で配荷店が昨年比で1.5倍に増えることから、売り上げも昨年の1.5倍を計画している。

減塩ニーズの高まりを受け増量商品を投入

 個食めんつゆに加え、今期、リニューアル商品として新たに投入するのが「塩分ひかえめ白だしゴールド」(500mL:税抜き503円)だ。

 「白だしゴールド」は、白だしの高級ラインで、本醸造の有機醤油を使い、鰹節や宗田鰹節、昆布などのだし素材を従来品の白だしの1.5倍使用することで、だしの味わいを深めた一品。

 「塩分ひかえめ白だしゴールド」は、「白だしゴールド」に比べ塩分を3割カットしたものだが、塩分を減らすにあたり、他の素材を加えることはせず、だし素材の配合比率を変えることで、減塩でも満足感のある深い味わいに仕上げた。

 こちらの商品は、従来、テストマーケティング的に300mL入りで展開していたが、白だしの利用拡大に伴い、減塩商品へのニーズも伸びてきたことから、今回、新たに500mLへの増量リニューアルを決めた。

 なお、販促については、特別な施策は考えていないという。「当社の減塩商品は口コミでの利用が多く、リピート率も高いため、特別な販促を行わなくても継続的にご購入いただける商品」(外山部長)だからだ。その口コミの契機として、同社のファンコミュニティであるアンバサダーを介した情報発信を、他の商品同様実施していく予定。売り手ではなく、利用者が情報を発信することで、消費者への説得力が高まると考えている。

「塩分ひかえめ白だしゴールド」(500mL:税抜き503円)

 にんべんの2025年度の業績は、家庭用事業部が牽引し、4期連続の増収が見込まれている。26年度も、これらの新商品をはじめとする家庭用商品の強化によりさらなる売り上げ拡大を目指す。また、これまで首都圏に比べ、相対的にブランド認知度が低かった西日本エリアでも、ふりかけなどの家庭用商品の普及で認知度は高まりつつある。とくに、昨年発売した個食めんつゆ2品は、首都圏に偏らず、西日本でも配荷が広がったことから、今年の新商品も西日本での配荷を強化。「創業三百余年、東京・日本橋の鰹節専門店」という強みも生かしながら、にんべんブランドの全国区化を推し進めていく。