1月6日、ラスベガスで開催中の「CES 2026」にて、アマゾンは顧客の生活をより便利にするAIビジョンと、それを具現化する一連の新製品・サービスを発表した。

 今回の発表の核となるのは、必要な時に現れ、不要な時は背景に溶け込む「アンビエントAI」という考え方だ。小売業界やサービス提供者にとって、顧客との新たなタッチポイントとなる重要なアップデートが多数含まれている。

1. アレクサ・ドットコム(Alexa.com)の全顧客展開:購買行動が音声からウェブへ拡大

 アマゾンは、次世代AIアシスタント「アレクサプラス(Alexa+)」の全機能をブラウザ上で利用できる「アレクサ・ドットコム(Alexa.com)」を、早期アクセス顧客向けに順次ロールアウトする。

 アレクサプラスの導入以降、ユーザーの会話量は2倍、レシピリクエストは5倍、そして商品の購入数は3倍に増加している。音声、モバイル、ブラウザ間で文脈(コンテキスト)が維持されるため、自宅で音声で探した商品を、外出先のPCで詳細確認し購入するといったスムーズな購買動線が期待される。

2. 多彩なパートナーシップによる「エージェント体験」の構築

 アレクサプラスは単なる音声操作にとどまらず、外部サービスと連携してタスクを完結させる「エージェント機能」を強化している。

 エクスペディア(Expedia)、イェルプ(Yelp)、アンジ(Angi)、スクエア(Square)との連携により、旅行の計画、レストラン予約、家庭向けサービスやウェルネスの予約がアレクサプラスから直接可能になる。

 また、サムスン(Samsung)のスマートテレビに初めてアレクサプラスが内蔵される。これにより、アマゾン製デバイス以外のサードパーティー端末でも高度な音声操作によるコンテンツ検索やスマートホーム管理が可能になる。

3. モビリティと生活家電への浸透

 移動中や家庭内での接点もさらに強固なものとなる。BMWの最新モデル「iX3」などに、アレクサプラスをベースとした次世代の「アレクサ・カスタム・アシスタント(ACA)」が搭載される。自然な対話で車両操作だけでなく、ナビゲーションや外部情報の取得が可能だ。

 家電との連携も進める。ボッシュ(Bosch)のコーヒーメーカーでは、まるでバリスタと会話するように好みの設定を伝え、パーソナライズされた一杯を作ることができる。

4. ウェアラブルAI「ビー(Bee)」が提供する能動的な支援

 アマゾンのデバイス&サービス部門に加わった新ウェアラブルデバイス「ビー(Bee)」は、顧客の行動を理解し、先回りした支援を行う。

 会話の内容からメールの下書きやカレンダーの予定作成を自動で行うほか、「デイリー・インサイト」として、自分では気づかない行動パターンや気分の変化を分析し、パーソナライズされた目標を提案する。テンプレート機能も進化し、会議や講義の記録を、状況に応じて最適なフォーマットで自動的に要約する。

5. スマートホーム・セキュリティ「リング(Ring)」の刷新

 ホームセキュリティ分野では、Wi-Fiの制限を受けない「リング・センサー(Ring Sensors)」が登場した。

 「リング・アップストア(Ring Appstore)」という、サードパーティー開発者がリングのカメラ向けにアプリを提供できるプラットフォームが誕生し、カメラの用途が多角化する。また、「ファイア・ウォッチ(Fire Watch)」という画像分析により、煙や火災の兆候を検知し、地域コミュニティで情報を共有する新機能も提供される。

 アマゾンによるこれらのアップデートは、AIがデバイスの枠を超えて「顧客の生活環境そのもの」になることを示唆している。