大阪・関西万博に沸いた2025年。そこから3カ月が過ぎた今も、西の雄・阪急阪神百貨店の店頭は熱気を帯びている。ポスト万博を占うカギとして同社が力を入れているのが海外VIP戦略だ。為替に左右されない富裕層を囲い込む取り組みが動き出している。
店頭アプローチで未来の海外VIPを発掘
年末に向け全フロアが慌ただしさを増す阪急うめだ本店。その中、ひときわ人だかりができているのが、地下1階にある「免税カウンター」だ。大きな紙袋を抱えた中国人客を中心に、外国人観光客が長い列をつくる。一方、向かいのコーナーでは、広いソファにゆったりと腰掛け、免税手続きを待つ訪日客の姿もある。この〝優先免税〟を受ける訪日客こそ、阪急阪神百貨店がグループ総出で顧客化に挑む「海外顧客VIPクラブ」のメンバーだ。
周知の通り、インバウンドは為替変動や国際情勢の影響を受けやすく、売り上げが〝読めない〟のが常だ。とくに売り上げ比率の大きいラグジュアリーは為替に敏感で、海外顧客ビジネスグループ 海外顧客事業部の白井康之ゼネラルマネージャー(GM、冒頭写真)は「1ドル150円を境に売れ方が変わる」と指摘する。同じブランドでも「バッグから小物へ移る」など単価ダウンが顕在化。140円台前半で推移した今上期の免税売り上げは、会社予想を約50億円下回った。




















