南海トラフ地震臨時情報から1年
およそ1年前の2024年8月8日、国内で初めて「南海トラフ地震臨時情報」(以下「臨時情報」)が発表された。「1週間以内に大規模地震が発生する確率が0.1%程度から0.5%程度に上昇した」という内容は「予知」と受け止められ、該当地域の8割近くが、実際に地震が起こると考え、社会に大きな混乱が広がった。イベントの中止や交通の乱れに加え、日常生活を支える小売りの現場でも防災関連品の欠品が相次いだ。結局のところ、臨時情報は平時に比べ地震発生確率がわずかに高まった状況を伝えるにすぎない。実際に地震が起きるかは予見できない以上、政府が行動を具体的に指南することはできず、最終的な対応は各人の判断に委ねざるを得ないという仕組み上の曖昧さが露呈する結果となった。
全国スーパーマーケット協会は2025年7月、臨時情報による影響とその後の対応を把握することを目的として、関東以西のスーパーマーケットに調査を実施し、87社から回答を得た(文中の%は無回答・不明を含む集計値)。