米アマゾン・ドットコムが運営する自動車販売サービス「アマゾン・オート」が、8月から中古車および認定中古車(CPO:Certified Pre-Owned)の取り扱いを開始した。アマゾン・オートは、ユーザーがオンラインで自動車を選び、提携ディーラーで購入・納車できるサービスで、昨年12月に新車販売からスタートしていた。

 今回の展開により、販売パートナーである地域ディーラーは、保有する中古車やCPO在庫をアマゾン上で公開できるようになり、価格帯や車種の選択肢は一層広がる。サービス開始はロサンゼルスから始まり、今後数カ月で他の米国主要都市にも順次拡大される予定だ。

 すでにアマゾン・オートには全米130都市以上のディーラーが参加しており、新たなカテゴリー追加によって車両販売チャネルとしての存在感がさらに強まることが期待される。

中古車販売はディーラーの要望

 アマゾン・オートのグローバル責任者であるファン・ジン氏は、次のように述べている。「この拡大は、ディーラーからの強い要望に応えたものであり、中古車や認定中古車を取り扱うことで、オンライン販売のリーチを広げ、より多くの顧客に高品質な車両を提供できる。地域ディーラーを支援するという我々の姿勢は変わらず、新車に加えて中古車でも、より多くの潜在顧客との接点を創出していく」

 実際に本取り組みに参加しているディーラーのひとつである、カリフォルニア州モレノバレーの「プレミア・ヒュンダイ・モレノバレー」のマネージングパートナー、ウェスリー・メトカーフ氏も「当社の中古車や認定中古車をアマゾン・オートを通じて紹介できることに大きな期待を寄せている。より多くの顧客にリーチし、オンライン販売の効率化にもつながる」と述べている。

 アマゾン・オートの新車販売サービスは、オンライン上で閲覧・購入の初期ステップを完了させ、納車を提携ディーラーで行う形式をとっており、今回の中古車展開においても同様のフローが採用される。ディーラーは顧客との対面による納車体験の提供に集中でき、長期的な信頼関係の構築につながる。

ユーザー保護と利便性を徹底

 特に注目されるのは、今回の中古車・認定中古車プログラムにおけるユーザー保護と利便性の設計である。以下の特徴が挙げられる。

 ・返品ポリシー:購入から3日間、または300マイル以内であれば返品可能
 ・保証制度:すべての車両に対し、最低30日間または1000マイルの限定保証が付与
 ・価格の透明性:表示価格=支払価格で、表示されない手数料は課されない
 ・詳細な車両情報:車両履歴レポートなどの包括的な情報を一覧表に掲載
 ・試乗対応:参加ディーラーと連携し、スムーズな試乗予約が可能

 掲載車両はすべて、購入者の居住地から75マイル(約120キロ)以内に所在する必要がある。また、新車・中古車の両方がアマゾン・オートのプラットフォーム上に並列で表示され、フィルター機能によりユーザーは「新車」「中古車」を簡単に切り替えて検索できる仕様となっている。

 ヒュンダイ販売店を皮切りに、今後は他ブランドのディーラーも順次追加予定とされており、利用者の選択肢はますます広がる見込み。アマゾンはすでに「AIによる興味関心ベースのレコメンド機能」を導入しており、自動車カテゴリーにもパーソナライズが導入される可能性がある。自動車販売の世界にも「アマゾン方式」が本格的に持ち込まれる時代が、いよいよ始まった。