国内大手百貨店の売上高が急減している。5月1日に大手5社が発表した4月の速報値によると、三越伊勢丹ホールディングスが前年比で1.5%減、高島屋が4.8%減、大丸松坂屋が1.9%減、阪急阪神百貨店が6.4%減、松屋が18.4%減となり、軒並みマイナスとなった。

 要因はインバウンド売上高の落ち込みだ。高島屋は免税売り上げが32.5%減に。化粧品やスポーツ用品はプラスとなったが、ラグジュアリーブランドをはじめとする高額品がマイナスとなった影響が大きく響いた。松屋も免税売り上げのうち、ラグジュアリーブランドなどの一般品が大きく落ち込み37.4%減、化粧品を中心とした消耗品も1.8%減となり、免税売り上げ全体は34.3%減になった。阪急阪神百貨店も免税売り上げが前年に対し約3割減になったという。

 背景には円高がある。24年は前の年から一気に円安が進んだ(23年4月平均1ドル133.4円→24年同153.6円)ことで、インバウンド消費が活況を呈した。これに対し、今年4月は同144.3円と再び円高基調となっており、これが高額消費に大きく影響している。

 すでに兆候は出ていた。日本百貨店協会の発表では、3月の全国の百貨店免税売り上げは442億円となり、購買客数は 51.5 万人(13.4%増)と3月として過去最高を記録したものの、売り上げは前年比で10.7%減と36か月ぶりにマイナス転じていた。

 百貨店各社は、コロナ後の回復からインバウンドの追い風を受け、好調な業績を続けてきた。インバウンド需要の失速が見られる今期は、これまで取り組んできた脱インバウンド施策の真価が問われることになりそうだ。(写真は2024年11月の銀座)