ストアギークはリテールメディアサービス「ストアギークサイネージ」の導入店舗や対象カテゴリを拡大し、UUUMと共同でインフルエンサーマーケティングのサービス提供も開始する。

 2023年10月から展開するストアギークサイネージは小売店の定番棚前に特化したリテールメディアで、今年2月からウエルシア薬局やツルハグループなど大手ドラッグストアでの横断広告配信がスタート。9月からはサンドラッグも導入を開始し、このネットワークを全国12社に拡大した。売り上げ上位店を中心に合計800~1000店舗で設置を予定する。また、これまでオーラルケアのみだったカテゴリをスキンケア、ヘアケア、ファブリックケアに拡大する。

 これに伴い、来春を目処に設置台数を現在の260台から3000台へ、総リーチ数(延べ人数、月間)を現在の約200万人から約2000万人へと、それぞれ10倍の規模での展開を目指す。

 ストアギークサイネージは視認性に優れた棚前最適化型のハードウェアで、商品購入を判断する直前のお客に適したコンテンツで訴求できることから、購買意思決定の後押しになるなどの強みがある。また、POSデータによる効果検証も可能だ。

 10月2日に行われた記者発表会で、ストアギーク取締役の安藤尚人氏はこの1年を振り返って「現状のインストアサイネージの課題解決につながるという仮説自体は間違っていなかった。こうした打ち手によって、小売り、メーカー、広告代理店に対して、しっかりとした成果につなげることができた」と力を込めた。

 一部の設置店舗での実証実験では、売り上げがオーラルケアカテゴリ全体で5.5%増、訴求サブカテゴリで6.9%増という結果がみられ、「カテゴリに関連する広告や販促が流れることで、ついで買いを誘発したり新しい商品との出会いを生み出したりして、カテゴリ全体の売り上げが伸びるという事例が複数出ている。そういった部分でも評価をいただいている」(安藤氏)という。

 また、有名動画クリエイターなど多くのインフルエンサーが所属するUUUMとの協業では、店外のデジタルメディアでのコミュニケーションと店内の定番棚前リテールメディアでのコミュニケーションを連動させたマーケティングを展開する。UUUM所属のインフルエンサーによるタイアップコンテンツを、ユーチューブなどのSNSに加えて、定番棚前に最適化した形で配信。店外での認知や興味喚起の促進と、店内での再想起や購買促進を連携させる狙いだ。

 UUUM取締役の鈴木司氏は「インフルエンサーを活用したマーケティングはこの数年で一般的になったが、その多くがオンライン上での展開にとどまっていた。今回の協業により、たとえばユーチューブ上でそのブランドの好感度が上がるようなプロモーションを行い、店頭でも同じクリエイターでより購買の意思決定につながるようなコンテンツを流すなど、オンラインからオフラインまで一気通貫のコミュニケーション設計が可能になる」と期待を語る。

 2年目に突入したストアギークサイネージは新たにインフルエンサーマーケティングも展開しながら規模を拡大し、サービスの拡充を図る構えだ。

左からストアギーク取締役の安藤尚人氏、同社代表取締役の廣瀬隆昌氏、UUUM取締役の鈴木司氏