コスモス薬品は今期、長野県と福島県への出店調査を開始する方針だ。地盤の九州から関西、関東へと拡大してきたコスモスだが、福島への出店が実現すれば東北進出を果たすことになる。7月18日に行われた決算説明会で、横山英昭社長は「大店立地法に基づいて行うので、実際の出店は1年から2年後ぐらいになる」と見通しを述べた。
コスモスは今期、120店の新規出店を予定。関東・中部・関西に70店舗、中国・四国・九州に50店舗を出す計画だ。横山社長は地盤の九州(626店舗)では700店まで増やしていく考えで、出店戦略について「エリアの区分はなく、すでに出店している地域の店舗密度をより濃くしていくドミナント出店を今後も続けていく」と語った。
これまで自力出店で拡大し、支払いは現金のみなど販管費を抑えるローコスト経営で成長を続けてきたコスモス。M&Aやキャッシュレス決済の導入については「まったく考えていない」(横山社長)とぶれない姿勢を示した。
2024年5月期連結決算は売上高9649億8900万円(前期比16.6%増)、営業利益315億100万円(同4.6%増)、経常利益342億9900万円(同3.7%増)、純利益244億5400万円(同2.8%増)の増収増益。新規出店は過去最多の139店、閉店7店で期末店舗数1490店となった。
既存店売上高が前年比108.4%と好調に推移。特に食品が同111.2%と2桁伸長し、売上構成比では通期で初めて6割を超えた。横山社長は「やはり食品のマーケットは大きいので、伸びるのは自然な流れ。今後もお客様に支持されるような品揃えをしていく」とする一方で、生鮮の取り扱いに関しては「まだ実験程度で、什器2つぐらいで展開している段階。集客の肝として魅力的で、今後本格展開する可能性もあるが、まだ研究が必要」と、鮮度管理のノウハウなどが課題であると認識。同様に、現在50店舗にとどまる調剤についても、本格展開はもう少し先になる見通しを示した。
ドミナント出店の徹底に加え、23年からディスカウント戦略を一層強化したことで、今期は売上高が1兆円を超える見通し。横山社長は「1兆円は通過点にすぎない。これからも大型店で集客力の高い店づくりを進めていく」とさらなる成長に自信を見せた。