香港の投資ファンドであるオアシス・マネジメントが、クスリのアオキホールディングス(HD)の取締役2名および元取締役の相続人2名に対して、約73億円の損害賠償などを請求する株主代表訴訟を金沢地方裁判所に提起した。アオキが7月25日、前日に訴訟告知書を受領した旨を発表した。

 オアシスは、2020年にアオキの青木宏憲社長、社長の弟である青木孝憲副社長に発行された、発行条件付きの新株予約権を問題視している。中長期の安定成長を目的として、100株あたり1500円で175万株(2人で計350万株、発行済株式総数の11.1%)をそれぞれに付与するというもので、24年5月期以降、経常利益220億円を達成した場合に発行できるなどとされている。

 この新株予約権をめぐり、オアシスは「公正な評価単価」よりも低い価格で発行されるなどとして、昨年に続き、今年も8月の株主総会で青木兄弟ら取締役3名の解任を求めている。

 一方で、アオキは7月18日に開いた取締役会で、オアシスの株主提案に対して「解任する理由・根拠に乏しい」として反対する旨を決議。当該新株予約権発行の有効性に疑義があることを印象付けることが目的だと指摘し、「当社に対する不信感を株主に不当に与えるものであり、極めて不自然な行為である」と反論した。また、取締役会では、花王の代表取締役専務執行役員などを務めた竹内俊昭氏、アドミラルキャピタル代表取締役で他に複数の企業で取締役などを務める木下玲子氏を、新任社外取締役候補者として決定。株主総会で選任する予定だ。

 アオキは今回の訴訟についても「今期業績に与える影響はないものと判断している」「改めて開示すべき事項が発生した場合は速やかに知らせる」としており、徹底抗戦する構えだ。