「まさかそのままスライドとは」。取引先が思わず苦笑するのは、トライアルホールディングスが目下店頭で進めている価格表示の切り替えだ。トライアルは長年、本体価格を表示せず、税込表示一本を貫いてきた。お客にとって税込表示こそが最もわかりやすく、同じく九州発祥でトライアルの最大のライバルであるコスモス薬品、福岡地場DSの三角商事(屋号ルミエール)の2社も同じく税込表示を採用していることへの対抗の意味合いもある。

 そのスタンスを崩し、本体価格を大きく見せる併記方式に切り替えると噂が出たのは今年に入ってからだ。当初は「税率を剥がす分、見た目は激安になる。競合にとっては相当な脅威になる」と見られていたが、フタを開けて見れば、取引先もみなびっくりの粗利改善策であることが判明。5月14日の25年6月期第3四半期決算説明会では、価格表示の切り替えを「粗利上昇戦略」であると明言。5月までに福岡県以外の店舗で切り替えを実施し、6月に最激戦地・福岡での切り替えを進め、6月末までに全店で完了させる。狙いは「適正なプライシング」としているが、西友買収による多額の借金返済が念頭にあるのは間違いない。

この記事の購読は有料購読会員に限定されています。
まだ会員登録がお済みでない方はこちらから登録ください。
有料購読申込

すでに会員の方はこちらから