メイシーズと投資会社2社との買収交渉が決裂した。メイシーズは7月15日、取締役会の全会一致で、アークハウス・マネジメントとブリゲイド・キャピタル・マネジメントとの協議を打ち切ることを決定したと発表した。
資金調達の「確実性」に欠けている
アークハウスとブリゲイドとの交渉は、2023年12月から7カ月以上に渡って続けられてきた。両陣営は秘密保持契約を締結し、デューデリジェンス・プロセスを進めていた。両社は買収金額を1株当たり24.00ドル(当初の提案額は21.00ドル)引き上げ、さらに引き上げる意向も示していた。
今年5月にはメイシーズが①最終的な買収価格の提示と、②買収に必要な負債や株式についてのコミットメントペーパーの提出、の2点を6月25日までに実行するように両社に要請した。
これに対して両社は期限翌日の6月26日になって、1株当たり24.80ドルで同社の全発行済み株式を取得する意向を表明する「チェックイン・レター」と称する回答書を提出したものの、添付された資金調達書類では、確実に資金を調達して買収提案を合理的な期間内に達成されるという確信を取締役会(および会社と株主)に与えるには不十分だったとしている。この提案で資金を調達するには、メイシーズの140を超える店舗や配送センターの独立した第三者による鑑定評価など、長期にわたる追加調査が必要となるからだ。
交渉決裂で株価は急落
メイシーズのトニー・スプリング会長兼CEO(最高経営責任者)は「持続可能で収益性の高い成長を取り戻し、フリーキャッシュフローの創出を加速し、株主価値を解放できるという確信を強めている」と語り、従前からの再建戦略「大胆な新章」の遂行を言明した。
同戦略は、①ネームプレート(ブランド)の強化、②ラグジュアリー品の成長加速、③エンド・ツー・エンドのオペレーション簡素化と近代化という三つの戦略的な柱からなる。進捗状況については、8月の2024年度第2四半期決算報告で発表する予定という。
メイシーズの株価は直近の19ドル台から、7月15日に一時16.37ドルまで急落。その後も16ドル台で停滞している。
買収交渉が長引く間に、アメリカの消費動向は停滞感を強めており、小売り各社は夏のセールを口実に値下げ競争に突入している。戻らない株価に、単独での生き残りを選んだメイシーズへの投資家の不信感が表れている。