イオンネクストは2027年度に埼玉県に久喜宮代CFCを新設し、ネットスーパー「グリーンビーンズ」の強化を図る。

 23年7月にサービスを開始したグリーンビーンズは、千葉県千葉市の誉田CFCを配送拠点に、東京・千葉・神奈川の一部エリアで展開している。CFCから配送先への中継拠点となる簡易倉庫のスポークは現在3カ所だが、5月に西日暮里(荒川区)に新設し、8月には板橋区にも開設。それに伴い、これまでエリア外だった板橋区、豊島区、練馬区でも8月からサービスを開始する。さらに、今秋には豊洲(江東区)、葛西(江戸川区)、千葉県市川市にスポークを開設し、配送効率を高めるとともにエリア拡大を狙う。

 7月6日に行われたグリーンビーンズ戦略説明会で、イオンネクスト代表取締役副社長の野澤知広氏(冒頭写真中央)は「今後は、さらにマーケットが肥沃な横浜エリア、柏・流山エリアにも早期にサービスを広げていきたい」と意欲を見せた。

 さらに、物流ハブの役割を担うCFCも新設する。26年度に八王子CFCを開設し、東京・神奈川エリアへ商品供給を行うほか、27年度には久喜宮代CFCを新設する予定だ。同CFCは埼玉をはじめ、東京・千葉エリアの一部をカバーするほか、ほか二つのCFCへの仕分け・供給機能も担う。近くにメーカーの工場や産地が多いことから、共同物流などによる効率化も見込める。

 「久喜宮代CFCの広さは誉田、八王子の1.5倍で、最先端の技術を導入することで供給力は最大で誉田の2倍まで高まる。これは通常のスーパー80店から100店分に該当する」(野澤氏)

 さらに、既存の誉田CFCの生産性も向上させる。現在もロボットが商品をピッキングする仕組みだが、来春までに常温エリアと冷蔵エリアに約30台のアームロボットを導入し、これがピッキング作業の半分以上を担う。また、コンテナへのビニール袋がけ作業をすでに人力から自動化に切り替えたほか、ラックへの商品積み込み作業も来春までに自動化する方針。これにより生産性は倍になる見通しだ。

 グリーンビーンズは最短で当日、7時から23時まで1時間単位で配送時間を選べる利便性に加え、徹底した鮮度管理とコールドチェーン配送を強みに、サービス開始1年で会員数は21万を突破した。利用者の居住地は東京6割、千葉3割、神奈川1割という割合。世代別では、30~40代の子育て世代や、子育てが落ち着いた50代から支持されている。バスケット単価は平均1万円弱で、ここ半年で15%ほど伸びている。

 配送から1週間経過後も鮮度を保証する「鮮度+」の野菜は累計販売数25万点の人気ブランドに成長。野菜15品目のほか、今夏には畜産品もラインアップに加えて合計30品目まで拡大する。

 7月3日からは、鮮度追求の第二弾として食べごろの期間保証も開始。果物の食べごろ期間を印字して保証する「食べごろ+」を発売した。産地から配送先まで一貫した温度管理と熟度管理を行うことで、旬の味をおいしさのピークで届ける。まずはキウイ、メロン、アボカドの計8品目でスタート。今後、季節のフルーツをラインアップに加えていく方針だ。

食べごろ期間を保証する「食べごろ+」を開始

 「コールドチェーンの技術に加えて、追熟の度合いを科学的に予測する特殊センサーを活用することによって、最も味が良い状態でお客様にお届けする、業界初の取り組み」(イオンネクスト取締役副社長の太田正道氏/冒頭写真右)

 これらの強みを武器に、2年目のグリーンビーンズは会員数倍増を狙う。