アスクルの商品を出前館の配達員が運ぶ

 大手ECの参入で市場の勢力図が塗り替わるか。1月26日、Zホールディングス(HD)が注文を受けてから短時間で食品などを届ける「クイックコマース」事業への本格参入を表明した。傘下のヤフー、アスクル、出前館のアセットを活用し、2022年度中に現在8店の配送専用店舗を数十店に拡大、東京23区全域で利用できるようにする。23年度以降はさらなるエリア拡大を目指す計画だ。

 新サービスは「Yahoo!マート by ASKUL(ヤフーマート)」として、出前館のアプリ上で展開する。商品ラインアップはアスクルが扱う食品や日用品を中心とした約1500品。注文を受けた後、出前館の配達員が都内の専用店舗で商品を受け取り、指定された配達先に自転車やバイクで商品を届ける。最短15分で届けるスピードがウリだ。

新サービスの概要

 ヤフーマートの前身として、ZHDは昨年7月末から食品や日用品を即時配達する実証実験「PayPayダイレクト by ASKUL」を行ってきた。実証実験では昨年10~12月の2カ月で月間注文数が10倍に増加、出前館における12月の店舗別売り上げランキング1位を獲得するなど成果を挙げた。また定着率も高く、昨年7月に初回利用したリピート顧客の平均注文頻度は3.7日に1回だった。「他のECに比べてもスティッキネス(引き付けられている度合い)の高いサービスとなっている。1店舗当たりの注文数を増やし、クイックコマースの拡大を加速できる」(秀誠ZHD執行役員)と判断し、今般の本格展開に踏み切った。

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