セブン&アイホールディングス(HD)は5月9日、同社の完全子会社であるセブン&アイ・ネットメディアが保有するニッセンHDの発行済全株式を歯愛メディカル(石川県能美市)に譲渡することを発表した。

 セブン&アイHDは2023年に「中期経営計画のアップデートならびにグループ戦略再評価の結果」を公表し、30年に「セブンイレブン事業を核としたグローバル成長戦略と、テクノロジーの積極活用を通じて流通革命を主導する、『食』を中心とした世界トップクラスのリテールグループ」を目指す方針を示した。これに基づき抜本的な事業ポートフォリオ変革を進める中で、今回の売却を決めた。

 ファッション通販大手のニッセンHDは13年にセブン&アイHDおよびセブン&アイ・ネットメディアと資本業務提携契約を締結し、16年にセブン&アイ・ネットメディアの完全子会社となった24年2月期の連結実績は、売上高395億円、営業利益2億円、純利益1億円。直近3年間は債務超過だが、譲渡実行日の前日までにセブン&アイ・ネットメディアによるニッセンHDの第三者割当増資を引き受けることで、ニッセンHDにおけるグループ内貸付の全額返済および債務超過の解消が見込まれるという。

 歯愛メディカルは歯科医院や歯科技工所など各種医療機関への通販事業を行っており、これまでニッセンHDとは商品の仕入れや販売等の取引がある。株式の譲渡価格は41億円で、譲渡実行日は7月1日を予定している