イトーヨーカ堂の東北地方からの撤退が表面化し始めた。9月14日付の福島民報は、来年5月にも郡山店(福島県郡山市)を閉店する方向で調整している模様だと報じた。郡山店についてセブン&アイ・ホールディングスは「閉店を含む様々な可能性を検討中」としつつ、「現時点で決まっていることはない」と回答した。

 イトーヨーカ堂は経営再建に向け、店舗の首都圏への集中化をすでに表明している。今月に入り宮城県仙台市のアリオ仙台泉、青森県五所川原市の五所川原店の撤退を店頭で告知した。アリオ仙台泉は来年1月31日、五所川原店は3月31日に閉店する。後継テナントがどうなるかなどは明らかになっていない。

 郡山店は市内の中心部にあり、食品や衣料品、服飾雑貨などを扱う4階建ての店と、ケーズデンキやスーパースポーツゼビオ、ヴィレッジヴァンガードなどが入居する別棟を運営している。今年8月には市郊外にあるイオン郡山フェスタ店を中核とする「ショッピングモールフェスタ」が建て替えのため閉店した。同店は26年9月に宮城県のイオンモール新利府に次ぐ東北最大規模の店舗となる計画があるとされる。

 ただ地域住民からは、「(ヨーカドー郡山店がなくなれば)特に衣料品の買い場に困ってしまう。大型店ができても歩き疲れるのではないか。できれば営業を続けてほしい」(60代女性)などといった声が上がっている。

 郡山市は同じセブン&アイグループの食品スーパー、ヨークベニマルのお膝元でもある。郡山店の運営にベニマルが今後どこまで関わることになるかが今後の焦点と言えそうだ。(写真は2014年の郡山店)