UAゼンセンは4月4日、2024年の春季労使交渉の妥結状況(3次集計)を発表した。
松浦昭彦会長は「産業、業種、働き方の三つの格差の是正では一定の成果を上げた」と評価したが、一方で「企業規模間の格差は道半ば」と新たな課題も述べた。
中小企業を中心とした300人未満の組合では、正社員は5.05%(1万4077円)と前年実績よりは高かったが、大手の5.51%(1万6572円)には及ばず。この結果について松浦会長は、「中小企業は賃上げできる原資を確保していくことが課題」と話し、UAゼンセンとしても交渉環境の整備を行うほか、賃上げ額の要請など、各組合に入り支えていく考えを示した。
4月1日10時時点で正社員は436組合が妥結。賃上げ率は5.49%(月額1万6446円)と前年実績の4.16%(同1万2350円)を上回った。ベア分では3.76%(1万1688円)の引き上げで、要求通り1%程度の生活向上分を確保する賃上げが実現した。また、3割を超える141組合が満額で妥結。流通部門においても、5.46%と高い水準を獲得し、産業格差の是正に成果が見られた。
一方、パートでは208組合が妥結。賃上げ率は6.11%(時給66.7円)の引き上げとなり、9年連続正社員の引き上げ率を超え、雇用形態間の格差是正が進んでいる。これは1次集計前にイオンが満額妥結したことによる影響が高い。イオンは昨年からパートの賃金を7%引き上げ、現場の人手確保の取り組みの先頭に立っている。
これを踏まえ、流通部門では、働き方(労働条件)の是正も進んでいるようだ。ライフコーポレーションではパートの特別休暇(生理、つわり、法要)を正社員同様の取り扱いになるよう24年度内に改定する。また、スギ薬局では、パートナー社員に対し、正社員同様の積立有給を5月から適用する予定だ。このほか、合計60組合が年間休日を1〜12日の間で増加している。人手不足を背景に、流通業界では、賃上げに加え、労働環境の改善を進めることで、パートの確保・定着を図る動きが活発化している様子がうかがえる。