3年近く膠着状態だった、国軍と民主派&少数民族武装勢力との争いが大きく動いたのは、2023年10月下旬だった。「北部3兄弟」と呼ばれ、クーデター後の争乱から距離を置いてきた三つの少数民族武装勢力が民主派と共闘してミャンマー北東部で一斉蜂起したのだ。3兄弟には中国の後ろ盾があるとされ、これまで国軍と争ってきた他の武装勢力とは桁違いの装備を擁している。背景には、中国マフィアがミャンマー北東部に十数万人におよぶ外国人を拉致監禁して行っているオンライン詐欺がある。中国政府は再三にわたり国軍に対処を要求したが、詐欺グループとつながりがある国軍はのらりくらりとかわしていたため、中国がしびれを切らし3兄弟に国軍との衝突を促したとみられている。3兄弟軍は1カ月余りで、中国との国境ゲートのほとんどを掌中に収めてしまった。国軍はこの戦いに兵力を割いたため、他の地域が手薄になって民主派勢力が躍進、12月初旬にはタイとの最も大きな交易路も戦闘の激化で機能しなくなっている。

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