ドラッグストアを中心に、業務スーパーで完全委託の精肉テナント事業を展開するバリューネットワークが一段と成長を加速させている。取引先や取引店舗数の急拡大の背景を同社の齊藤秀明社長に聞いた。

アウトパック需要の高まりを受け3000店舗に迫る

 バリューネットワークは精肉、青果売り場の管理、運営を担う「精肉のプロフェッショナル」だ。熟練した精肉のプロを抱え、小売店で取り扱いの難しい精肉の発注から加工、販売までの完全委託を実現。売り場で手頃な価格帯の精肉から銘柄精肉まで幅広い商品をお買い得な価格で提供している。

 テナント導入店舗数は、精肉テナント事業「肉の雅屋」と青果テナント「青果雅屋」を合わせて2552店舗(2023年11月現在)を展開しているが、22年から約250店舗も増加している。このうち、1948店舗と大半を占める精肉テナント事業の急拡大を支えているのがアウトパックのプロセスセンター(PC)だ。こちらも36カ所まで増えている。齊藤社長は、「ドラッグストアは新店、既存店を問わず、当社のテナント事業の出店要請が多い」と語る。
精肉テナント事業では、店内に作業場を併設する「インストア方式」と売り場だけを借りて販売する「アウトパック方式」、一部で展開中の「対面方式」の3種類を用意。このうちアウトパック方式のニーズが拡大していることから、現在、大阪南部に展開先をさらに広げる予定だ。

 商品面では、独自の精肉の仕入れ網を生かした品揃えを展開。国産銘柄牛から国産・海外産の牛・豚・鶏の各種部位まで割安に仕入れている。さらに、オーストラリアのストックヤード社と連携してPBを開発。成長ホルモンや遺伝子組み換え、飼料を一切使用しない安心・安全にこだわった長期穀物肥育牛のロングビーフと、黒毛和牛と配合した交雑種の高質なオーストラリア産「ストックヤードビーフ」を展開している。国産豚では米ぬかを飼料に加えたビタミンを豊富に含む「米ぬか豚」、トウモロコシのほか、脂肪含有量が少ない小麦、マイロを豊富に使用することで脂肪質の風味がよい「三田ポーク」を販売。また鶏では、熊本の養鶏場と提携し、ブランド鶏も扱っている。

安心・安全にこだわった「ストックヤードビーフ」は世界中の消費者から支持を集めている
三田ポークは兵庫県認証食品「ひょうご安心ブランド」を取得している

ドラッグストア、業務スーパーに続きホームセンターにも出店

 特に引き合いの増えているドラッグストアでは、大型店舗での導入事例が増えている。通常の店舗では売り場面積6〜8尺を基本としているが、その10倍の60〜80尺規模で展開。取扱商品は、お手頃価格の精肉に加え、黒毛和牛や国産のブランド豚など高価格帯まで品揃えが拡大しているほか、小容量パック商品も取り揃えている。また焼くだけですぐに食べられるタレ付き肉も販売しており、「男性客が立ち寄って購入するケースも増えた」(齊藤社長)としてドラッグストアの客層拡大につなげている。

 バリューネットワークの拡大はまだまだ続く。ホームセンター(HC)への出店を加速している。関東地方のHCで今年度中に3店舗オープンする計画で、この3店舗の進捗を検証し、全店への拡大を検討する。「関西のHCからもお話をいただいていることから、HCはドラッグストア、業務スーパーに続き、第3の業態になる可能性が高い」(齊藤社長)。また産直市場についても業務スーパーとのコラボ店舗を10月に茨城県でオープンし、今後、北関東エリアで展開を拡大させる予定だ。

 このほか、HACCPの義務化に合わせて立ち上げた専門部署も拡大中だ。抜き打ち点検や店舗巡回で、工場内・作業場・売り場の衛生状態の点検からPOPの表示点検まで実施し、不備があれば改善から対策まで指導する役割を担う。この専門部署では、発足当初、千葉と大阪の2拠点で展開していたが、愛知と広島、9州にも拠点を拡大。各拠点では万一の際にその日のうちに対応できる体制を整備するなど積極的に取り組んでいるが、「さらに強化したい」(齊藤社長)考えだ。

 バリューネットワークの精肉テナントは主力の精肉の販売に加え、PB開発の強化や拠点の拡大に邁進。業態の垣根を越え、同社の存在感はさらに高まりそうだ。

バリューネットワークの齊藤秀明社長

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