精肉テナント事業／バリューネットワーク「肉の雅屋」／精肉関連の付加価値商品を広げ 競合店舗と差別化

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2000店舗に迫る勢いで全国にエリアを急拡大

　ドラッグストアにとって生鮮食品は必須商品となった。生鮮を取り扱うテナント導入が急増し、その中でも「精肉のプロフェッショナル」として精肉テナント事業を手掛けるバリューネットワークは、発注から加工、販売までの完全委託を実現。完全委託によるコスト削減と精肉卸も手掛ける独自の仕入れルートで厳選した精肉をお買い得価格で提供。ドラッグストアを中心に、業務スーパー、食品スーパー（SM）などから圧倒的な支持を得て急成長を遂げ、契約数ナンバーワンを誇る。

　テナント導入店舗数は精肉テナント「肉の雅屋」の屋号を中心に青果テナント「青果雅屋」を含め、現在2307店（2022年11月時点）と昨年から1000店舗以上も増加。特に精肉テナントは、2000店舗に迫る勢いで全国にエリアを急拡大している。これを支えるアウトパックの精肉プロセスセンター（PC）を31拠点まで開設、北は北海道から南は9州まで商品提供エリアも広げている。齊藤秀明社長は、「ありがたいことにお客様の方からお問い合わせをいただき、導入を開始するケースがほとんどです。直近では10数店舗規模の地場SMや業務スーパー、産直市場のほか、食品の売り場面積を広げているドラッグストアなどからの依頼が急増しています」と語る。

　精肉テナント事業では、業務委託形式で店舗管理運営を任せられる熟練のプロと契約。委託事業者として精肉担当者が責任を持って加工から販売のすべての業務を担う仕組みだ。店内にバックヤード（作業場）を持つ店舗向けの「インストア方式」、売り場だけを借りて販売する「アウトパック方式」のほか、一部で「対面方式」もスタートさせた。精肉事業を強化したい業務スーパーやSMからはインストア方式を、バックヤードの狭いドラッグストアなどからはPCで加工した商品を店舗に発送するアウトパックシステムを主に受注している。

　例えば、某SMでは、出店エリアにグランピング施設が多いことから、ゴンドラ棚3本以上で精肉関連商品を陳列。人気の和牛や国産豚肉に加え、ハム・ソーセージ、肉を使った惣菜や冷凍食品など幅広く展開。大型の旗艦店のバックヤードでインストア加工した商品を多店舗に配送するアウトパック方式で各エリアを網羅。地域の客層に最適な商品の品揃えに力を入れている。「数10店舗規模の地場SMでは人手不足が進み、難しい肉の仕入れや加工の完全委託を依頼するケースが増えています。また中堅SMでも自社PCのエリア対象外の店舗だけ導入を依頼するケースもあります」（齊藤社長）。

銘柄国産肉から精肉関連商品まで自社PB開発を推進

　精肉関連商品ではスケールメリットを生かした仕入れにより、競合他社の精肉売り場を圧倒。国産銘柄牛から国産・海外産の牛・豚・鳥の各種部位も割安に仕入れている。ドラッグストアでも高級な国産肉を取り扱いたいニーズが高まっていることから、国産豚では米ぬかを飼料に加え、ビタミンを豊富に含む「米ぬか豚」の販売をスタートした。また鶏では、熊本の養鶏場と提携し、ブランド鶏も扱っている。さらにオーストラリアの生産者を集めたストックヤード社と連携。ストレスフリーな環境で穀物肥育したロングビーフと、黒毛和牛で配合した交雑種の高質なオーストラリア産のPB商品「ストックヤードビーフ」を直接輸入している。

　また売り場面積が広がっていることから、精肉関連惣菜や冷凍商品、ハム・ソーセージなどの関連商品の品揃えを広げている。「健康基軸に対応したサラダチキンに加え、簡単便利でニーズの高い冷凍食品やミールキットの開発を推進。精肉関連商品すべてに対応していきます」（齊藤社長）。来春にはアンテナショップを大阪府吹田市江坂にオープンし、精肉から加工品まで幅広いPB商品を展開。そこでの売れ筋商品を見極めながら、全国の精肉テナントや同社が運営する飲食店に広げる計画だ。

　精肉は衛生面を徹底する必要があることから、HACCPの義務化に合わせて専門部署を立ち上げた。専門部署では、抜き打ち点検や店舗巡回で、工場内・作業場・売り場の衛生状態点検からPOPの表示点検まで行い、不備があれば改善から対策までを指導している。

　同社の精肉テナントは大手ドラッグストアにはほぼ導入されており、足元ではSMへの導入も急拡大している。割安な精肉の販売だけでなく、今後は自社PBの商品開発と全国への拠点開設を推進。店舗の商圏に合わせた付加価値の高い商品の品揃えで、各エリアで競合店とのさらなる差別化を図っていく構えだ。