クスリのアオキホールディングス(HD)は8月8日、香港のファンド、オアシスマネジメントが7月31日に開示したアオキのコーポレートガバナンスに対して改善を求める内容の資料に対して、取締役会としての見解を発表した。
まず、「アオキが、青木宏憲社長と弟の孝憲副社長に対して、公正価値をはるかに下回る価格でストックオプションを発行した」との指摘については、発行価額(公正価値)、公正な評価単価ともに第三者評価機関が、一般的なオプション価格算定モデルを用いて算出したもので、客観性があると反論。また、公正価値は、ストックオプションに付された行使条件に基づくディスカウントを適用しており、矛盾するものではないとした。
「ストックオプション発行直前に不自然な業績の下方修正を行った結果、株価が下落し、ストックオプションの行使価額も大きく下落した」との指摘については、第2四半期の決算で経常利益が当初予想を7億円下回り、第3四半期以降も、コスト増などから同様の傾向が続くと見て、下方修正を決めたとして、ストックオプション行使価額引き下げを狙ったものではないと否定した。
さらに、「青木桂生前会長の母親がアオキに福利厚生施設として売却した自宅の一部を前会長が私的に利用している」との指摘に対しても、その事実はないと否定。自社に確認することなく公表したのは、個人の名誉棄損に当たるとして、あらゆる対応を検討する必要があるとの認識も示した。
加えて、アオキが社外取締役候補に選んだ藤井大温氏について、「アオキに勤務経験があり独立性に懸念がある。さらに、藤井氏が手掛けたビジネスは、アオキに比べ極めて小さいうえ、安定的な黒字創出にも失敗していることから、経営能力にも疑問がある」との指摘については、「オアシスが示した経営能力を判断するために示した情報は直近のものではなく、公正な評価には適切ではない。直近までを見れば、例えばタイオンHDは“直近まで赤字”ではなく、“早期に黒字化した”が正しい」として、反論した。
このほか、「青木社長や社外取締役との面談を申請しているのに一度も実現されていない」との指摘に対しても、「IR方針に則って(社内取締役が)オアシスとの面談を行った」として問題はないとした。
アオキ側は、すでにオアシスの株主提案ををすべて否定しており、8月17日の株主総会では改めて両者が全面的に争う構図となりそうだ。