クスリのアオキHDは7月18日、香港ファンドのオアシスから6月15日に受けていた株主提案の内容を明らかにするとともに、その提案についていずれも反対すると表明した。
オアシスの株主提案の内容は、新たな社外取締役として三菱商事出身、レコフの創業にも参画した現MAパートナーズ社長の池井良彰氏を選任すること、合わせて筆頭社外取締役の選定、指名報酬委員会の設置、社外取締役の報酬に関する2議案の計5議案だ。
特に1番目の新社外取締役の選任について、オアシス側は「創業家が(クスリのアオキ内で)大きな影響力を持つことは明らか。その中で業界再編の機運が高まり、創業家の利益と株主共同の利益が相反する可能性がある統合への対応が取締役の重要な役割となる中で、取締役会に助言し業務執行を監督するには不十分な布陣」として、M&Aに知見を持つ池井氏を選任したという。
これに対し、アオキ側は「現時点において、統合への対応が当社取締役の重要な役割であるとは考えていない」「取締役会に対する助言や監督よりも、M&A仲介会社の代表者として、事業成長に資する潜在案件の紹介を頂く方が中長期的な企業価値向上の観点からは望ましいのではないか」として、あくまでフード&ドラッグの実現、調剤併設、ドミナント出店に邁進していくとしている。
一方で、同日アオキ側は新たな社外取締役として、元ザグザグ取締役、現タイオンホールディングス代表取締役の藤井大温氏を選任することを発表。藤井氏はザグザグ創業者の故藤井孝洋氏の子息で、介護や在宅特化型の調剤薬局を運営している。アオキ側は「調剤薬局・介護分野の事業を立ち上げた経験を生かし、変化する顧客のニーズを取締役会に助言してもらうことは、地域に信頼されるドラッグストアとしての企業価値を高めることにつながる」との認識を示した。また藤井氏は2007年に約6カ月、アオキに在籍していたが、「退職から15年以上が経過し、関与は一切ない。社外取締役としての遂行に独立性の観点から問題はない」としている。
アオキの株式保有者は、5月の大量報告書などによるとオアシスが5.5%、同じく外国ファンドのメイワーが3.35%、オービスが5.2%を保有していると明らかにしている。また昨年の有価証券報告書提出時点ではアオキ創業家側が少なくとも27.64%、イオンが9.98%、ツルハが5.13%を保有している。
アオキは株主総会を例年8月中旬に開催している。オアシスは同じくドラッグストア大手のツルハHDにも株主提案を行っており、ドラッグストア業界にとって波乱続きの株主総会となりそうだ。