ツルハホールディングス(HD)は7月7日、議決権の13%を保有する香港のファンド、オアシス・マネジメントの株主提案に対し、取締役会として「すべて反対する」と意見を表明した。これにより、ツルハHDとオアシスが株主総会で全面対立する構図となった。

 ツルハHDはオアシスの株主提案に対して、コーポレート・ガバナンス上の重大な問題点は存在しないこと、オアシスの指摘事項は幻想にすぎないこと、ツルハHD側の候補者が最適な取締役会構成であるとそれぞれ指摘した。

 取締役構成については、「これまでも継続的に体制強化に努めてきた」としつつ、新たな社外取締役としてグーグルやランコムでの経歴を持つ田中若菜氏、メリルリンチなどグローバルの金融機関での経歴が長い奥野宏氏を選任するとした。これにより独立社外取締役は11人中5人となる。オアシスが指摘している現・社外取締役の3人について不適切とした理由については、「あたかも当社に『社外取締役の総入れ替え』が必要なガバナンス上の重大な問題があるよう事実を歪曲して評価する憶測の域を出ない」と批判した。

 逆にオアシスが選任した5名の社外取締役については、郷原信郎氏に対し「そもそもコンプライアンスへの対応が問題になっていない」、中村元彦氏については「役職を務めていたコンビニ事業とは業界が異なりドラッグストア、調剤薬局に関する知見があるとは言えない」などとして、いずれも「取締役候補とする必要はないとの結論に達した」とした。一方で、取締役会の下に設置している指名・報酬委員会について、現在の委員長は鶴羽順代表取締役社長が務めているものの、「総会以降は社外取締役を委員長にすることを含め、さらなる独立性・客観性と説明責任の強化のための施策を検討する」とした。

 業界内での経営統合の必要性について指摘されていることについては「これまでもM&Aを主導してきており、その方針に変わりはない」、鶴羽家・小川家・村上家の三つの創業家による強い支配が行われているとの主張には、事業会社の大半で創業家以外の人材が代表取締役を務めており、「あたかも創業家が存在すること自体が当社に悪影響を及ぼしているかのような前提を置くもの」であり、誤りだとした。

 その一方で、事業会社のくすりの福太郎については、8月3日付で小川久哉社長、小川治取締役会長の両氏がそれぞれ代表取締役会長、取締役名誉会長にスライドし、新たに春田康行執行役員営業統括本部長が代表取締役社長に昇格する人事を発表。同じく同日付でツルハHD初代社長で事業会社ツルハの取締役名誉会長である鶴羽肇氏の退任も発表しており、オアシス側の同族経営に対する批判を踏まえた人事とも取れそうだ。

 ツルハHDは株主総会を8月10日に予定しており、それまでに両者の応酬が激しさを増すことは確実だ。