今年3月末、「ユニクロ」を擁するファーストリテイリングは、ミャンマーからの撤退を発表した。同社が展開する「ジーユー(GU)」はジャケットやシャツなどの生産をミャンマーのパートナー企業で行っていたが、次の秋冬シーズンで提携解消を決めた。日本のファストファッションの一大生産拠点であるミャンマー衣料品業界の動向は、日本の衣料小売価格にも大きな影響を持っている。

 2011年に当時の政府が民主化に舵を切ってから19年の新型コロナ感染拡大まで、ミャンマーの衣料品業界は驚異的な成長を遂げた。衣料品工場は600軒を超え、11年に10億米ドルほどだった輸出高は19年には65億米ドル超となり、輸出全体の3割以上にのぼった。輸出先は、1位がEU、2位が日本だったが、コロナでEUの衣料品市場が冷え込むと、ミャンマーの工場の勢いも減速。ジェトロの資料によれば、発注側が生地や付属品の調達を負担し、工場は裁断と縫製、梱包までを行い輸出する「CMP」系企業の衣料品輸出は、20年10月から21年5月までの間に、既に前年同期より2割近く減っていた。そこに勃発したのが21年2月の国軍によるクーデターだ。

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