パナソニックの幅広い商品群でトータルソリューションを提案

 パナソニック産機システムズがドラッグストア向けのトータルソリューションの提案に注力している。同社では、ショーケースや厨房機器をはじめ、LED照明、空調システム、エネルギーマネジメントシステム、映像セキュリティーシステムなどパナソニックグループの機器・システムを幅広く取り扱っている。高効率な設備機器による「省エネ」、CO2排出量削減による「環境保全」、作業効率を高める機器による「省力化」、いざというときの「安心安全」の四つの取り組みを推進。こうした機器を設置・施工するだけでなく、各種機器の遠隔監視や保守メンテナンスも行えることが高く評価されている。

  特にドラッグストアでは、冷凍食品を中心に食品の品揃えを大きく増やしていることから、大容量サイズの省電力化に特化した冷凍・冷蔵ショーケースの提案を強化している。

 冷凍については、平型ケースやオープンケースのリーチイン化を提案。同社の冷凍リーチインショーケースは、省スペースながらも大容量を確保しているほか、投げ込み陳列が可能な庫内バスケットを使用することで、陳列作業の効率も高められる。また、商品が見やすい冷凍デュアル型ショーケースは、リーチインとオープンケースを組み合わせたもので、上下合わせて十分に収納できる容量を確保。商品を見栄え良く陳列し、補充も容易に行える。

 冷蔵については、日配品を強化しているドラッグストア向けに低床型の多段形冷蔵ショーケースを用意。上部に冷凍機を設置して庫内スペースを拡大しており、間口が広く、棚7枚8段の商品展開が可能なほか、単体設置にも連結にも対応している。

CO₂冷媒採用ノンフロン冷凍機

大手ドラッグストアがノンフロン冷凍機を積極的に導入

 パナソニック産機システムズは、CO₂冷媒採用ノンフロン冷凍機の販売も強化している。同社は食品小売業界において他社に先駆けて2010年からCO₂冷媒を採用したノンフロン冷凍機を市場投入しており、現在では2馬力機から40馬力機まで幅広くラインアップしている。CO2冷媒は、地球温暖化係数が約4000分の1、オゾン破壊係数がゼロと環境特性に優れているほか、燃焼性や毒性もなく安全性も高い。R404Aインバーター冷凍機と比較した省エネ効果は同社試算によると、冷蔵系で16.2%、冷凍系で25.4%あるほか、CO2削減効果は冷蔵系で65%、冷凍系では71%と高いのが特徴だ。

 その一方で、代替フロンの冷凍機は地球温暖化係数が高いことが課題となっている。16年のモントリオール議定書の改正で代替フロンも規制対象に追加されたこともあり、使用を規制する動きが一層強まっている。いつまで使用できるか不明な冷媒の冷凍機を使い続けることはドラッグストアにとってコストが大きい。だが、最新技術のノンフロン冷凍機は「価格が従来型よりも割高」(コールドチェーン事業本部企画統括部企画1部の森合充部長)であることがネックになっていた。また冷凍機の耐用年数は平均15年程度だが、運用コストを抑えるために長く使い続ける企業が多く、中には25年ほど使用するところもある。

 そこで、環境省は14年度からノンフロン冷凍機導入を後押しする補助金制度を創設。今年度までに、ドラッグストアではノンフロン冷凍機をサンドラッグがいち早く採用。ダイレックスやドラッグトップスなどグループ企業もこの補助金を活用し、パナソニック産機システムズのCO₂冷媒採用ノンフロン冷凍機の導入を進めている。森合部長は、「SDGsや環境保全の観点から当社のノンフロン冷凍機システムの導入を決断していただいた」と振り返る。環境省では補助金制度の延長も検討しており、サンドラッグ以外にもノンフロン冷凍機を導入する大手ドラッグストアが増えている形だ。

 また政府は20年4月にフロンの使用適正化を目的にフロン排出抑制法を改正。これにより冷蔵機器と冷凍機器の定期的な点検が義務づけられた。同社では、冷凍機器の各種データをクラウド上で一元管理し、遠隔監視する保守サービスも運営。導入後の設備管理業務や店舗管理運営費用の負担も軽減できる。

 同社のノンフロン冷凍機は他社製ショーケースなどにも対応しているため、すでに他社の冷設機器を使用しているドラッグストアが導入できる点も大きなメリットだ。

 森合部長は、「30年までに当社が出荷する冷凍機のノンフロン化100%の実現を目指していきます」と意気込みを語る。パナソニック産機システムズは、ドラッグストアのカーボンニュートラル実現とコスト削減の両立に貢献していく構えだ。