エア・ウォーターアグリ&フーズが家庭用冷凍食品市場に本格参入を果たした。秋季新商品として、9月1日より発売されたのは、冷凍ケーキ、お肉のどんぶり、お手軽スイーツシリーズなど7品。「昼食・内食」「ストック・あわせ買い」需要に対応している。

 冷凍ケーキはミシン目入りトレーを採用、食べたい分だけ取り出すことができ、また解凍不要で凍ったままが食べごろの「セミフレッドケーキ」もラインアップ。お肉のどんぶりシリーズは、「家庭で作るのが難しい」「材料を揃えるのが大変」「作り方がわからない」を解決。ルーロー飯、甘辛スタミナ丼をラインアップし、どんぶりメニューマンネリ化解消を打ち出した。お手軽スイーツは、クセになるもちもち触感が特徴となっている。

 エア・ウォーターアグリ&フーズは、産業ガス製造を祖業とするエア・ウォーターのグループ会社だ。エア・ウォーターの食品事業は、もともとはコア事業の産業ガス製造の技術を応用することから始まった。北海道の新鮮な農水産物を液化窒素で瞬間冷凍させて、ホテルや外食で販売していた。

 エア・ウォーターには、M&Aで多様な企業がグループ入りしていたが、2021年10月、関連企業を集約して、エア・ウォーターアグリ&フーズを設立。業務用から家庭用市場進出の方針を明確に打ち出した。家庭用冷凍食品の発売はその戦略が本格的に動き出したことを示している。

 近年、冷凍食品の需要は急増している。背景にあるのは、在宅勤務などで内食の機会が増え料理の手間を省きたい簡便ニーズが一段と拡大、まとめ買いする購買行動も増えたこと。さらに、ストックがきき、SDGsにも関わる食品ロスの削減につながることも購買促進に輪をかけている。一般社団法人日本冷凍食品協会の調査では、21年の家庭用国内生産額は3919億円(前年比105.2%)と調査開始以来最高値を更新したという。

 エア・ウォーターアグリ&フーズは、ホテルやレストランといった業務用で培ったノウハウを生かして、「レストランの味をご家庭に」がコンセプトの「CHEFLLY(シェフリー)」ブランドで新製品の開発を今後も促進。ロングライフによるフードロスの削減や、バイオマス使用などのSDGsの観点にも沿ったシリーズとして、冷凍食品市場の販路拡大に努める構えだ。