厚生労働省の中央最低賃金審議会は8月2日、2022年度の地域別最低賃金の引き上げ額の目安を最大31円とするよう同省に対し答申した。この答申通り各都道府県で引き上げが行われた場合、全国加重平均の上昇額は31円(昨年度28円)となり、1978年度に目安制度が始まって以降最高額となる。

 答申では、都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCDの4ランクに分けている。現在、Aランクは東京、大阪、愛知など6都府県、Bランクは茨城、京都、広島など11府県、Cランクは北海道、新潟、岡山、福岡など14道県、Dランクは青森、島根、愛媛など16県。引き上げ額の目安はA・Bランクを31円、C・Dランクを30円としている。

 中央最低賃金審議会の目安を受けて、各地で答申が出された。8月4日には、大阪府と愛知県で31円の答申が出され、10月以降の最低時給は大阪1023円、愛知986円に引き上げられる見込み。8月5日、同額の答申が出された東京都では10月以降の最低時給は1072円となる予定だ。

 原材料高、エネルギー高に苦しむ流通業にとって人件費の上昇はコスト負担増につながり、より一層の生産性向上などが求められることになりそうだ。