デジタルロジスティクス推進協議会(DL協議会)は、DL協議会の会員企業であるメーカー・卸・物流事業者などが議論して定めた「納品伝票電子化」の標準データフォーマットと標準運用手順を公開した。納品伝票は一般的に紙で運用されていることが多く、発行や収受、保管に現場の物流担当者の膨大な時間と労力が費やされている。そこでDL協議会は物流情報のデジタル化の一環として、納品伝票電子化を推進している。
物流業界では労働力不足を背景とした危機が高まっていることから、DL協議会は持続可能な物流を実現することを目的に2019年7月に設立された。物流情報のデジタル化・標準化・共同利用を通じたサプライチェーン全体の最適化を図るため、議論や実証実験を行っている。食品メーカーでは、キッコーマン、ハウス食品、日用雑貨メーカーでは資生堂ジャパン、ライオンなどが参画。食品卸は、伊藤忠食品、加藤産業、国分グループ本社、トモシアホールディングス、三菱食品が参画。その他、物流事業者の7社が参画し、合計23社・3団体で構成。その中から事務局として日本パレットレンタルが取りまとめを行っている。
納品伝票電子化はサプライチェーン上の全ての企業がメリットを享受できることから、DL協議会で議論や実証実験を行ってきた。また紙で活用しきれていない情報をデジタル化することによって、様々な物流施策へ寄与する業界全体へのメリットが非常に大きい。ただし、納品伝票は多くの企業間で取り扱われることから個別に電子化を進めることは難しく、納品伝票電子化の独自仕様の乱立によって、複数のシステムの併用を招き、利便性を低下させる恐れもある。
この課題を解決するため、DL協議会は共通の指針の策定を進めてきた。策定にあたっては、会員企業にとどまらず、業界全体が採用しやすいよう汎用性を高めた。さらに物流現場での実運用を考慮し、実際にモノが移動する車両単位でデータを構成したほか、ペーパーレスによる物流現場への影響も配慮した。これらの成果物(標準フォーマットと運用手順、システムの機能要件、実証結果など)は、要約した資料にまとめて、協議会外部にも積極的に公開している。DL協議会は、納品伝票電子化の必要性の認知をさらに高め、多くの企業とともに社会実装を推進していく構えだ。