セブン&アイホールディングス(HD)など、コンビニを展開する大手流通3社はトップの年頭所感を発表。社会環境が激的に変化する中、DXを活用し、企業活動の推進と社会課題の解決の両面に取り組み、社会に不可欠な存在になることが重要との認識を示した。
セブン&アイHDの井阪隆一社長は、今年は消費者の生活防衛意識が高まり、値ごろ感のある商品が求められる一方、コロナ下でも豊かな生活を楽しみたいというニーズもあると分析。相反する二つのニーズに対応した商品開発・調達が重要になると指摘した。
また、昨年7月公表した中期経営計画の柱の一つとして、グローバルな成長力の創出を挙げ、セブンイレブンを世界で信頼されるブランドに育てる決意を表明するとともに、もう一つの柱として、各事業会社同士の連携とグループシナジーの活用も掲げた。
さらに、今年のテーマとしてDX戦略を挙げ、顧客と従業員双方の体験価値を高める新たな仕組みの構築が重要とした。
このほか、SDGsやESGなど、社会課題の解決への取り組みにも言及。経済的な成長と社会課題の解決を両立する原動力は、グループ従業員の行動と想いにあるとして、主体的な取り組みを呼びかけた。
ファミリーマートの細見研介社長は、従業員と地域の生活者、取引先が連動して新しいコンビニエンスストアの文化を作り上げていく1年になると指摘。さらに、世界で起きている「デジタル化の加速」、「コロナ禍での競争の変化」、「消費者心理の劇的変化」という激しい環境変化に各自が持ち場で機敏に対応していくことが重要で、とくに、デジタル化ではリアルとの融合を加速させる年として、「サテライト店舗の推進」、「メディア事業」、「金融事業」が本格的に拡大するとの見方を示した。また、コロナ禍での競争の変化では、従来の競争に加え、スーパーマーケットとの競争にも言及した。
このほか若い世代を中心に高まっている持続可能な社会の実現への関心に応えるべく、事業活動と社会課題の解決を両立するとの決意を見せた。
ローソンの竹増貞信社長は、コロナ下で進んだECやリモートワークなどのデジタル化と国内外2万店舗、30万人の従業員というリアルを組み合わせ、新しい生活様式や価値観に合わせて変化し、新しい便利さを提供できるかどうかが問われていると指摘。「攻めのチャレンジ」で、今年は厳しく結果を出していくとの決意を示した。