医療機器メーカーの日機装は6月10日、空間除菌消臭装置「Aeropure(エアロピュア)」をウエルシア薬局とスギ薬局で販売すると発表した。

 エアロピュアの仕組みは、機械内に取り込んだ空気を、「深紫外線LED」の除菌技術できれいにして、再び外に出すというもの。深紫外線は、紫外線の中でも100~280nmの短い波長帯域の強い光で、これを出力する深紫外線LEDを、日機装はノーベル物理学賞を受賞した名古屋大学の天野浩教授、名城大学の故・赤﨑勇終身教授の協力の下、世界に先駆けて量産化、実用化に成功。宮崎大学との共同研究では、深紫外線LEDによる新型コロナウイルスの不活化試験を実施し、有効性を確かめている。

 もともと医療機関のニーズに応え、コロナ感染前の昨年1月に発売したが、医療機関はもちろんのこと、それ以外からの問い合わせも多かったことから、今年は生産体制を整えた。合わせて一般消費者向けにリアル店舗でも販売していこうと、医療機器との親和性が高いドラッグストア店舗を選出。まずは両社10店舗ずつで販売する。消費者向け以外にも、建設会社とのコラボによる住宅やビルの空調設備、また公共交通機関の座席への組み込み、床面除菌ロボットなど、様々なシーンで応用していく計画だ。

 日機装は産業用特殊ポンプやシステムなどを手掛ける「インダストリアル事業」、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)製航空機部品を手掛ける「航空宇宙事業」、血液透析などを手掛ける「メディカル事業」を展開している。血液透析では1969年に国産第1号の人工腎臓装置を開発し、国内シェアは50%超を誇る。木下良彦取締役執行役員医療部門長は、「医療費コストが大きくなり、社会的な負担を抑えるには、病気になる人を増やさないようにすることが求められる」として、治療のメディカル事業に加え、未病予防のヘルスケア事業を新たな柱として育てていく考えだ。

(トップ画面は日機装の甲斐敏彦社長(左)と木下良彦取締役執行役員医療部門長)