郊外から都心進出に不可欠だった在庫圧縮

 ネットと実店舗を融合させた「デジタル・ラボ」が青山商事の「重在庫、低回転、高粗利」のビジネスモデルを変革しつつある。青山商事の成長は、スーツを大量に仕入れ、原価を抑制、時間をかけて売り切り高粗利を稼ぐところにあった。デジ・ラボは、店内に大型デジタルサイネージやipadを複数設置し、接客に活用。受注時にお客のサイズ、選んだ色柄、袖、裾直しといった補正データとともに、受注情報をEC在庫センターに送り、出来上がった商品をお客の自宅に届ける仕組みだ。

 デジ・ラボは2016年10月、秋葉原店の開店に合わせ開発された。同店は駅から徒歩1分の好立地にあったが、売り場面積はわずか50坪。当時、秋葉原店の店長を務めていた、EC事業本部EC企画グループ長の内山敬氏は、「(秋葉原店は)郊外のロードサイドから都心に進出するチャンスだった」と振り返る。店内に大量に在庫を抱え、大きな補正室も備える必要から、地価の安い郊外立地に大型店をチェーン展開していくのが青山商事の出店戦略。通常店の平均面積は150坪から200坪。それが1/3、1/4の50坪になった時店の在庫をどうするか。その答えがデジ・ラボだった。

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