社内ルールに従う範を身をもって示す
ドラッグストア業界の発展に寄与してきた創業者が一人、第一線から退くこととなった。スギホールディングス(HD)の杉浦広一会長。5月中旬に開かれる株主総会をもって、代表取締役会長を退き、顧問に就任。その後はスギ薬局グループ全体を見渡し、これまで培った幅広い知識、経験を生かし、役員、幹部に、指導、助言を行うことになる。だが、コロナの収束も見えないこの時期、なぜスギグループの牽引役である代表取締役会長の座から退くのか。
杉浦会長は、その問いに「会社が規定するルールに則ったから」と答える。役員は65歳、代表取締役は70歳で退職と決められている。杉浦会長の夫人、杉浦昭子氏は、3年前、65歳を迎えるとともに取締役を退き相談役となった。昨年7月に齢70となった杉浦会長にとって、今年の退任は既定路線。「わたしの体調は悪くないし、事業に対して前向きでもあり、情熱を失ったわけでもない。あくまで20年前の上場時に自身が決めた退任のルールに従っただけ」と杉浦会長は淡々と語る。その規約を創業会長が変えることもできたはず。それをしなかったのは、上に立つものが社内ルールに従う範を身をもって示さねばならないと、強く考えたからに他ならない。