ツルハはなぜ非上場化を諦めたのか
「ツルハ主導ではこの統合は上手くいかない」。ある大手ドラッグストアのトップはこう指摘する。2月28日、イオンが開いたヘルス&ウエルネス事業戦略構想の説明会。そこで発表されたのはドラッグストア業界に大きな衝撃を与えたツルハホールディングス(HD)とウエルシアHDの経営統合。詳細は省くが、経営統合の主眼は、ツルハを親会社とし、ウエルシアを完全子会社にするというもの。2027年中に統合を完了させるとしている。大手ドラッグストアトップの指摘は、この親会社ツルハ、子会社ウエルシアの構造そのものの否定。それは業界関係者に共通する思いでもある。
ウエルシアは22年2月期、ドラッグストア業界で初の売上高1兆円超えを達成した。24年2月期は売上高1兆2300億円を計画。ツルハは24年5月期1兆330億円を計画。ウエルシアに遅れること2年で1兆円超えとなる。2月29日ウエルシアで開かれた方針説明会で、ツルハとの統合説明がなされたが、集められた幹部の中に号泣する者もいたという話がまことしやかに流れた。売上高で業界2位のツルハの下風に立つことを受け入れられない、そんなウエルシア社員の気持ちを代弁したものといえよう。