飲食の出店意欲後退は集客に大きな痛手

 2020年は例年より、ショッピングセンター(SC)の規模が小さくなっているとはいえ、住友不動産ショッピングシティ有明ガーテン、三井ショッピングパークららぽーと愛知東郷、イーアス沖縄豊崎、JR横浜タワー、心斎橋パルコなどの大型商業施設を含む40のSCが誕生、コロナ禍で新規開業の遅れが危惧されたが、年をまたいで順延になった施設はそれほど多くはなかった。20年SC総数は42カ所が閉鎖したために前年より2カ所減り、3207SCとなった(日本SC協会調べ)。42カ所は閉鎖後すべて更地になったという訳ではなく、約半数がまた新しい商業施設として生まれ変わる計画も進んでいる。

 20年度の全国百貨店の総売り場面積は約505万平方メートルになるが、イオンモールの総売り場面積は約510万平方メートルとなる見込みで、ディベロッパー1社の売り場面積が百貨店全体を上回ることになる。20年のSC新規出店地域別分布は19年に続き、首都圏に偏重しており、九州地区を除く、他地域の新規出店数の減少が続いている。20年下期の新設SCは18カ所で昨年下期の30カ所からペースダウンした。3年前までは大規模施設の開発が目立ったが、イオンモールの大型施設が小休止していることも影響し、ここ2年程は中小施設(3万平方メートル以下)の比率が高まる傾向にある。

 20年SCの特徴的な事例を三つ挙げると、①地域と調和した複合開発。周辺の街並みとの調和や街への導線の確保、地域とのコミュニケーションの場を重視。住居やホテル、イベントホールなどを併設した複合開発(有明ガーデン、ウォーターズ竹芝など)。②ホームセンター(HC)のSC化。HCを核店舗に、地域住民の生活の拠点としてインフラ機能を果たす商業施設を展開(スーパービバホーム東松山モール、くみまちモールあさかなど)。③地域の「安全・安心な生活」を守るSC。感染対策に力点を置いた施設整備を進め、物理的な施設のほかに、アプリを使った混雑状況の提供、ネットスーパーの強化、リモートサービスの提供など、コンタクトレスな施設運営の強化(イオンモール上尾、イオンタウンふじみ野など)になる。

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