解凍せずに調理できる「お肉と野菜のミールキッチン」

 双日グループの双日食料が味付き冷凍畜肉惣菜「肉一番」シリーズのさらなる品揃えの拡大を図る。共働き世帯の増加や、巣ごもり需要などにより、「家庭で簡単に調理したい」、「野菜をしっかり採れる肉料理を食べたい」という要望が増加。これを受け、肉一番シリーズから新たにミールキット「お肉と野菜のミールキッチン」シリーズを12月から順次発売している。足元では量販店やドラッグストアが食肉売り場の冷凍ケースの品揃えで差別化を図っていることから、そちらでのPB商品とNB商品の提案を強化していく。

 展開するメニューは「牛肉と彩野菜のコチュジャン炒め」、「牛肉と根菜のきんぴら炒め」、「彩野菜と豚ロース肉の細切り炒め」、「鶏から揚げと彩野菜の黒酢炒め」、「つくねと彩野菜の黒酢炒め」、「つくねのみぞれ煮」、「つくねのトマトソース煮」の7種類。いずれも、袋から取り出して解凍せずに5-6分で調理できる。パッケージには料理のイメージ写真を配置し、できあがりが想像しやすいように配慮。またアメリカンビーフ、ポークや、九州産鶏肉「華味鳥」のロゴも表示。双日食料こだわりの厳選素材を使用していることを訴求し、差別化を図っている。

 既存品である、レンジアップですぐに食べられる市販用加熱済みトップシールシリーズは、容器ごとレンジで約2分温めるだけで本格的な肉料理が味わえる。この秋冬商品では新たに、「豚角煮」、「牛すじ煮込み」、「国産牛もつ煮込み」、「牛すき焼き」、「牛ひとくちステーキ」の5種類をラインアップ。今回から、玉ねぎ、ごぼう、人参など野菜も下ごしらえして包装。温めるだけでそのまま食卓に出せる利便性を前面に打ち出す。

 市販用に加え、業務用では外食などの通販向け商品も強化する。外食向けの加工品製造で培ってきたノウハウを生かし、お店の味を再現しつつ、長く保存できるPB商品を販売。要望に応じて商品開発から製造までを担うソリューション提案も積極的に推進する計画だ。

 このほか、未加熱商品も拡充させることにより、肉一番シリーズ全体で約30種類以上をラインアップ。価格訴求力と商品力が評価され、PBも含めて採用企業が一気に約80社へ拡大している。今後、フローズン商品のみならず、加熱済みや味付け生肉などのチルド商品、ローストビーフなどの商品形態も広げていきたい考えだ。

「トップシール」シリーズ(左上から時計回りに「豚角煮」、「国産牛もつ煮込み」、「牛すき焼き」、「牛ひとくちステーキ」、「牛すじ煮込み」)

参画企業と切磋琢磨する仕組みが評価されたミートワン

 こうした多彩な商品群を支えているのがグループ会社のミートワンだ。2018年2月、同社は安全安心な食肉原料、製品の安定供給と品質確保などの課題解決を目指し、双日食料と十数社の食肉加工メーカー、物流会社が共同出資して設立された。北米産冷凍牛肉の国内輸入量の3割を取り扱う双日食料が、競争力のある牛肉、豚肉、鶏肉などの原料をミートワンへ優先的に提供。同社は商品を企画し、参画企業がそれぞれ競い合いながら試作品を開発。その試作品をさらに絞り込んでクライアントに提案するという工程を経ることで、高品質かつ低価格の商品を提供できる仕組みを構築している。加えて、双日食料が業務提携を行っている、複数の食肉加工メーカーとの協業も強化している。

参画企業が製造する加熱済み冷凍食品の一例

 昨年10月には、同社が掲げる事業活動のテーマ「匠の技術の結集、競争力ある畜肉製品を提供」が評価され、食品産業新聞社主催の「食品産業技術功労賞(マーケティング部門)」を受賞した。ミートワンの池本俊紀社長(双日食料 畜産第1本部 本部長)は、「参画企業が切磋琢磨して開発した加工品を競争力のある価格で提供する仕組みを構築。PB開発の依頼も増えています。参画企業と知恵を絞り合いさらに競い合うことで、『肉一番ブランド』を高めていきたい」と力を込める。

 双日ではメッセージとして、「Hassojitz(発想×sojitz)」を掲げ、双日グループ全体の「発想」で新たなビジネスを切り拓くことを目指している。双日食料では「ミートワンが得る価値」と「社会が得る価値」の最大化を追求し、参画企業が切磋琢磨することで新たな価値を創造。今後も安心、安全で競争力のある畜産加工品の提供に全力で邁進する方針だ。

(冒頭写真は、「お肉と野菜のミールキッチン」シリーズ)