原料営業部を発足させ独自素材のメーカーへの提案を強化

 機能性表示食品の届出数や独自のエビデンス数、商品ラインアップ数(ヘルスクレームおよび関与成分数)の総合力でNo.1を不動のものにしている東洋新薬が一段と存在感を高めている。健康食品と化粧品の総合受託メーカーである同社の総合力を支えているのがエビデンスを重視した商品開発力だ。2005年に特定保健用食品(トクホ)で許可取得数が日本一となって以来、トクホ開発でトップを独走。この研究開発力を生かして機能性表示食品の「スピード届出」を実現している。 

 東洋新薬の代表的な独自素材が「葛の花エキスTM」だ。機能性関与成分「葛の花由来イソフラボン」が含まれている葛の花エキスTMはこれまで内臓脂肪や皮下脂肪の低下を助ける機能が認められてきたが、今年9月には日常生活での掃除機使用や洗濯物干しなどの活動時におけるエネルギー消費を高める機能についてヘルスクレームを追加している。

独自素材が「葛の花エキスTM」

 また、機能性関与成分「大麦若葉由来食物繊維」を含む「大麦若葉の繊維青汁T」を機能性表示食品として消費者庁に届け出し、今年3月に公開された。本商品はSRを用いた届出であるため、今後は青汁に限らずパンや焼き菓子などのより食品に近い機能性表示食品としても届出が可能となった。

  今年に入って、東洋新薬では受託案件が増加している。巣ごもり生活による健康意識の高まりやダイエットの需要が拡大していることが一因とみられる。髙垣欣也副社長は、「健康意識の高まりで、依頼いただく機会が増えた」と手応えを口にする。

 受託件数の増加とともに、東洋新薬の素材を採用するメーカーも増えている。例えば、食後の中性脂肪上昇や血糖値上昇の抑制作用が確認されている「ターミナリアベリリカTM」では、新たに総合食品メーカーが飲料への配合を届け出るなど、東洋新薬の独自素材を採用した商品が増えている。

 東洋新薬は独自素材の領域を広げるため、昨年原料営業部を発足させた。これまで同社は商品の製造受託も原料の販売も同じ営業部隊が担当していたが、原料専任の営業部隊が食品や飲料メーカー、外食産業に対して、葛の花イソフラボンや大麦若葉といった原料の提案を強化している。髙垣副社長は、「当社の原料を様々な企業にご活用いただき、消費者の健康ニーズに応えた商品づくりに貢献していきたい」と意欲を示す。

 需要拡大を受けて、昨年6月に稼働を開始した最新工場「インテリジェンスパーク第一工場」(佐賀県鳥栖市)では、同年10月の「健康食品GMP」に続き、今年1月に「NSF GMP認証」を取得。国際レベルの水準をクリアした品質管理体制で安心・安全な製品づくりに努めている。

最新工場「インテリジェンスパーク第1工場」(佐賀県鳥栖市)

健康食品特化の東洋フーズ設立でOEM需要の増加に対応

 東洋新薬は商品企画・設計から製造、販売促進支援までのトータルサポートを行う「ODM」と、その知見に支えられてきた「OEM」(製造)の両輪による独自の「ODEM」というビジネスモデルで様々なニーズに応えてきた。ここに来て、「製造だけを任せたい」などのニーズも増えていることから、今年3月には健康食品のOEMに特化した新会社「東洋フーズ」を設立。グループで培ったノウハウを生かし、より安くスピーディーな製造を提供する方針だ。髙垣副社長は「当社は自社素材を配合したODM受託しか扱わないと誤解もあったが、OEMでもどんどんご活用いただきたい」と設立の狙いを語る。

  設備面では、充填包装機をさらに増強。様々な食品形態の需要拡大から、これまでの数gの粉末分包に対応した包材に加えて、お茶の葉を入れるティーバッグや、数百gのプロテインなどを充填できる機器を導入し、さらなる包材や剤形のニーズに対応していく考えだ。

  さらに、顧客の利便性向上を図るべく、10月1日から通販ビジネスの情報サイト「通販ビジネスステーション」を開設した。通販会社の経営者や担当者を対象に通販ビジネスのトレンドや、美と健康にかかわる商品の開発ノウハウ、行政の動向や規制への対応などの情報を提供している。髙垣副社長は、「事業を進める上で当社のノウハウでお役に立ちたい」と力を込める。東洋新薬は消費者1人ひとりの生活の質(QOL)向上や健康の維持.増進に貢献するべく、より一層取り組みを強める構えだ。

髙垣欣也副社長