イオンリテールは10月6日、「イオンスタイル有明ガーデン」(東京都江東区)にて、リアルとデジタルを融合した実証実験を開始した。新型コロナウイルス感染拡大で非対面、非接触のニーズが高まる中、デジタルを駆使してお客との接点拡大、買い物の利便性向上を図る。
まず新たなタッチポイントづくりとして、同日の午前に行われたのがマグロ解体ショーのライブ配信だ。調理場の模様を店内のデジタルサイネージに映し出したほか、マイクロソフトの対話アプリ「チームズ」を使ってウェブ上でも配信。これまでスーパーで人気だった試食販売や調理イベントがコロナ禍で難しくなっていることに対応する。
また商品棚(エンド7カ所)には映像コンテンツなどを放映できる「ビデオレール」を導入。棚上段に設置されたカメラがお客の性別、年齢を判別し、属性に応じたPR動画のほか、レシピが見られる2次元コードなどを表示する。お客の反応や売れ行きのデータは食品メーカーと共有し、今後の陳列や販促、コンテンツ作りに生かしていく考えだ。
店舗運営の効率化も図る。店内カメラで売り場の滞在人数を測り、混雑前の効果的なレジ応援に活用、3密防止の入店制限も行う。またレジ前のカメラがお客の年齢をAIで推定し、未成年の場合にはアラートを表示することで従業員の声かけ負担の軽減を目指す。
そのほか、同店にはお客がレンタルスマホで商品をスキャンし専用レジで会計する「レジゴー」が当初から導入されているが、新たにセキュリティゲートも検証する。支払い後に表示される2次元コードをゲートにかざし、買い物を完了する仕組みだ。今後は専用アプリをリリースし、お客自身のスマホでスキャン、決済ができるようにする計画で、それに向けてチェック機能も整備していく構えだ。
実験期間は最低でも3カ月以上を予定。効果検証ののち、来年以降他店への水平展開を検討していく。システム企画本部長の山本実執行役員は、「有明ガーデンはコロナ禍でオープンが遅れ、お客様と十分コミュニケーションが取れなかった店舗でもある。新しい施策を当店から始めることで現状の接客や販促・サービスで足りていない部分を補完するとともに、ニューノーマルにおけるCX(顧客体験価値)向上を模索していきたい」と語った。
(トップ画面は、棚の前に立ったお客の属性に応じたコンテンツを流す「ビデオレール」)