突然の社長交代発表から2カ月。巨艦イオンの新体制が動き出した。

 代表執行役である岡田元也会長と吉田昭夫社長の棲み分けは、岡田会長がSM・商品物流とコーポレート部門を受け持ち、それ以外が吉田社長となる。GMSのイオンリテール、イオン北海道、イオン九州3社と、ディベロッパーのイオンモール、イオンタウン、金融のイオンフィナンシャルサービスは直接管掌。ほかにデジタル・中国(担当・羽生有希執行役副社長)、アセアン(同・岡崎双一執行役)、サービス・専門店(同・辻晴芳氏)、ヘルス&ウエルネス(同・難波廣幸氏)を管轄下に置いた。

 中核企業の1社であるイオンリテールは、井出武美社長となって初の新中計がスタート。組織改変では、複雑化した商品担当の組織をシンプルにし、食品、衣料、住居余暇・H&BC、MD改革本部の4本部制とした。また商販一体事業会社化を目指してきた「インナーカジュアル」、「キッズリパブリック」は衣料本部下に入り、「ホームコーディ」、「グラムビューティーク」は住居余暇・H&BC本部下に配置することも決定。これにより事業会社化は当面見送りとなったと見られる。

 同じく商品面ではSM企業の動きも慌ただしい。USMH傘下のマルエツ、カスミ、マックスバリュ関東の3社は組織改編で商品部を刷新。マルエツは惣菜強化のため、商品本部内に「フレッシュデリカ統括部」を新設し、その配下に生鮮4部門を配置。これまでの部門の壁を打破し、惣菜強化のための連携を急ぐ。

 またUSMHはウエルシアHDと組み、日用品の共同調達にも乗り出す。ウエルシアHDの商流に乗ることで原価低減を図るとともに、売り場の棚割りや販促でも同社と業務を統合する。両者とも販促手段にワオンやTポイントを利用していることから、共同販促も実施しやすい。

 デジタル戦略も徐々にだが加速し始めた。イオン九州ではネットスーパーの1日あたりの配送件数を300件増便してさらなる需要を取り込むほか、ペイペイと連携し、アプリでの注文から最速30分で商品を配達する「ペイペイダッシュ」サービスを3月に実験的に開始する。

 今期は新型コロナウイルスの影響がいつまで続くか、どこまで広がるか予想がつかない。そうした状況下にあっていかに自社の抱える課題を解決していくか、グループ各社の地力が問われそうだ。

(冒頭写真の左が新体制を率いる吉田昭夫社長、右が岡田元也会長)