全国スーパーマーケット協会は8月28日、「フューチャーストア“NOW”−継続的近未来スーパーマーケット研究−」の推進協議会を初のオンラインで開催した。協会事務所のある東京・神田と各推進委員とをZoomでつなぎ、ウィズコロナの食品スーパーマーケットについての意見交換がされた。

 始めにファシリテーターを務めるコーネル大学RMPJプログラムディレクターの大塚明氏が、コロナ禍の中で起きたお客の買い物行動の変化に言及。マルエツの村中隆執行役員販売促進部長が口火を切り、コロナ期間中のチラシの扱いに頭を抱えたと吐露。「なぜチラシで人を呼ぶのか」という声が多くあった一方、「チラシがないと買い物しづらい」という指摘も受けつつ、最終的には緊急事態宣言発令の10日後に、東京全域と埼玉の一部の店でチラシをやめ、さらに5月1日からは全店でチラシをやめることを決断。1カ月間チラシを完全にやめて6月から戻したという。

 宅配が好調を続ける日本生協連の坂上周司事業支援部長は、受注ベースでは120%以上の状態が続き、最も高い時で5月の連休中に前年比140%になった会員生協があったことを報告。ただし物流センターの機能は常時、稼働率90%を超える中で効率を上げているため、120%の受注に対応するのは難しい面もあり、実際の供給ベースでは110−120%弱に留まったという。

 消費者の新しい日常生活を踏まえ、どう変わっていかなければいけないかという点については、ベルジョイスの小苅米秀樹会長が、お盆商戦で人が流入してくるはずの店が厳しかったことに言及。「これまでは8月と12月に稼ぎ、上期は浮き沈みがあり、下期はできるだけ赤字にしないというのが基本的な損益構造だった。それが成り立たなくなってくるのでは」とした上で、「予算の作り方、店のあり方を考え直す」と危機感を示した。

 エブリイの丸竹義則取締役は、ディスカウントの意識が高まっているとして低価格体質のフォーマットを考える必要があると指摘。また9月からアプリをスタートする中で、4月から自粛しているチラシの効果も検証できるとして、「地上戦から空中戦に切り替える1つのパラダイムシフトになるのではないかと見ている」と述べた。

 年末商戦への言及も相次いだ。日本生協連の坂上部長は「最大の欠品を起こした週をベースに、その欠品率を超さないことを目標に設定して年末を乗り切りたい」とした。またラルズの樋口裕晃取締役は「帰省がなかったお盆の売り上げ状況をベースに、年末商戦のMDを組み立てていく」と語った。



(写真はオンラインで開催されたフューチャーストア“NOW”協議会)