物流自動化用ロボットのコントローラー開発を手掛けるMUJINは、7月28~30日、東京・江東区の本社に設けた「MUJINロボットセンター」の特別内覧会を開催した。
同社は、墨田区にあった本社が手狭になったことから、昨年9月、江東区に移転。新本社は、移転前の8.5倍、1万4000㎡に拡大し、新たに商品のデモンストレーションを行うロボットセンターを併設した。これにより、多くの物流企業を対象にデモを行える環境が整ったことに加え、新型コロナウイルス感染拡大により自動化の需要が高まっていることもあり、今回、特別内覧会を実施した。
内覧会では、形状や重さの異なる荷物をロボットが荷姿を判断しながらラックから積み下ろしたり、ラックに積んだりする作業や、AGV、ACRなどの搬送ロボットが運んできたパレットから荷物を下ろす作業、さらに、サイズや置かれた向きが異なる通い箱をコンベアに移す作業などのデモを実施した。
従来の産業用ロボットは、あらかじめプログラミングした動きを繰り返すだけだったため、塗装など、同じ作業を行う製造現場への導入がもっぱらで、商品のサイズや積み方などが異なる物流現場への導入は難しかった。これに対し、MUJINが開発した制御システムは、モーションプランニングAIを用い、商品の状態(サイズや積み方)をカメラで捉え、その情報を元にロボットが始点とゴールを定めてピッキングするため、形状や積み方が異なる荷物のピッキングにも使える。モーションプランニングは、ロボットが自己学習する点でディープラーニングと似ているが、広報統括の石原優月氏によれば、「ディープラーニングは、その裏のロジックが読めないため、誤作動した場合の原因分析や修正がしにくい。一方、モーションプランニングはロジックが明確なので、原因分析や修正ができる」という。
同社は設立9年のスタートアップだが、大手物流企業のセンターへ導入されるなど、実績も豊富で、多くの企業が注目している。今回の内覧会も、総勢76社、247名が参加。新型コロナの感染防止の観点から3日間、各3回に分け、人数も制限して実施したが、参加申し込みが多く、抽選により参加者を決めた。参加者からは、「想像以上の技術の進歩に驚いた」、「ロボットを実際に見ることで自社導入の具体的なイメージが持てた」といった感想が寄せられたという。石原氏は、「大変好評を頂いたので、今後も定期的に開催を予定していきたい」と2回目以降の実施にも意欲を示した。