価格競争に参戦していいことは何もない

 キャッシュレス決済のポイント還元がスタートした昨年10月、セブンイレブンは大方の予想を覆す戦果を上げた。コンビニは2%還元の恩恵を受けられるが、セブンペイで躓いたセブンイレブンは、ファミペイを持つファミリーマートや業界最多の決済サービスが使えるローソンの後塵を拝すと見られていた。ところが蓋を開けると、セブンの既存店売上高は前年比3.4%増とコンビニ大手3社の中で最も高い伸び。しかもそれが11月以降も続き、12月はファミマ、ローソンが水面下に沈む中で唯一プラスになったのだ。


 「強いセブン」復活を思わせるこの伸びを牽引しているのは、昨年発売した「品質アップ」商品だ。10月の消費増税で、節約志向は嫌でも強まる。その対策には価格訴求と価値訴求の二つがあるが、セブンは早々に後者で行くと決めていた。この決断をさらに揺るぎないものにしたのは、「増税後は際限のない価格競争が始まる」というグループのスーパー各社の危機感だ。「そんな価格競争に参戦していいことは何もない。この先競争環境がどうなろうと、我々はあくまで品質アップとセブンイレブンらしさを表現できる商品作りに邁進しようと、逆に腹を括った」と高橋広隆執行役員商品本部長は明かす。

高橋広隆執行役員商品本部長

この記事の購読は有料購読会員に限定されています。
まだ会員登録がお済みでない方はこちらから登録ください。
有料購読申込

すでに会員の方はこちらから