産地がないことがお客のニーズとどう関係があるんだ

 「A店では黒豚が非常によく売れており、扱い量を増やしているようです。米国の輸入牛も健闘しています。それから…」と、その日の発表者で北海道のゾーンマネジャーB氏が競合店の状況を報告していた時のことだ。

 「ちょっと待て」

 鈴木(敏文)氏が発表をさえぎった。

 「黒豚はそんなに人気があるのか」

 「はい。北海道はもともと豚肉が好まれる地域ですし、A店で黒豚を買ったお客様に直に聞いてみたところ、下手な牛肉よりよほどおいしいという声が圧倒的でした」

 「じゃあ、なんで置かないんだ」

 「商品リストにありませんし、北海道には黒豚の産地がないと聞いていましたので、入れるのが大変なんだろうと思っていました」

 鈴木氏の目が、精肉部総括マネジャーのC氏に向けられた。C氏は思わず立ち上がる。「A店で黒豚が売れていたことは知っていたのか」

 「はい、知っていました」

 「じゃあ、なんで入れないんだ」

 「産地が北海道になかったものですから」

 「産地がないことが、お客のニーズとどう関係があるんだ」

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