米国の大手食品小売業者クローガーは8月11日、C&Sホールセール・グローサーズとの訴訟を解決したと発表した。この訴訟は、クローガーとアルバートソンズの合併失敗に関連していた。

 C&Sは解約料として1.25億ドルを請求していたが、両社は和解に達し、今後友好的な関係を築いていくことを確認した。和解の詳細については公開されていない。

アルバートソンズとの合併が破談

 C&Sはクローガーとアルバートソンズが進めていた合併計画において、約579店舗とその他の資産を買収する予定だった。しかし、合併は規制当局によって拒否され、C&Sは1.25億ドルの解約料を求めて訴訟を起こしていた。C&Sは合併が成立しなかった理由がクローガー側にあるとし、解約料の支払いを請求していた。

 クローガーは、C&Sが合併の条件を満たせなかったとして支払い義務はないと主張し、訴訟を強く否定していた。しかし、今回の和解により、両社は訴訟を終結させることとなった。

 クローガーの会長兼CEOのロン・サージェント氏は「C&Sからの請求を解決できたことをうれしく思い、今後も友好的な関係を築いていくことを楽しみにしている」とコメントしている。

 クローガーとアルバートソンズは、2010年代後半から米国のスーパーマーケット業界における競争力強化を目的に合併を模索していた。両社は規模の拡大や効率化を通じて競争力を高め、市場シェアを拡大することを目指していた。しかし、合併案は規制当局の強い反発に遭った。また、アルバートソンズがC&Sホールセール・グローサーズと密かに連携し、合併阻止を図ったことが信頼を損ね、破談の一因となった。

 特に、米国連邦取引委員会(FTC)と複数の州の反トラスト規制機関が、両社の合併によって競争が制限され、消費者に不利益をもたらす可能性があると警告した。規制当局は両社の店舗が重複する地域での価格競争が減少し、消費者が価格高騰の影響を受けることを懸念した。

 また、合併後に提案された資産売却先であるC&Sホールセール・グローサーズについても、同社が小売事業の経験不足や経営能力に疑問を持たれたことが反対理由の一つとなっていた。