伊藤忠商事は8月31日、電通グループとの戦略的提携を発表した。子会社を通じ、電通グループ傘下の電通総研に対する公開買付け(TOB)を実施する。総額で最大約2152億円を投じ、電通総研の株式38.2%を取得。買付けは11月上旬を見込む。その後、伊藤忠商事は、親会社の電通グループとともに電通総研を非公開化する予定だ。

 今回の提携の狙いは、成長領域であるITサービスとリテールメディアの拡大にある。

 ITサービス領域では、伊藤忠グループの伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)と電通総研が業務提携を結ぶ。CTCが持つ大規模ITシステム構築・運用のノウハウと、電通総研のコンサルティング力や業務知見、ソフトウェア開発力を組み合わせることで、企業のDX需要への対応力を高める。

 一方、流通業界にとって注目されるのがリテールメディア領域での連携だ。こちらでは、伊藤忠が出資する広告配信会社データ・ワンおよびデジタルサイネージ事業を展開するゲート・ワンと、電通が業務提携を結ぶ。伊藤忠グループは、ファミリーマートの決済アプリ「ファミペイ」や、店内サイネージ「ファミマTV」などの基盤に加え、6000万超のIDに紐づき年間流通総額10兆円超をカバーする購買データを保有している。これらの資産と、電通グループの広告・マーケティング力を融合することで、購買データを起点とした広告・販促サービスの高度化を進める。

 伊藤忠グループは本提携を通じ、広告効果の可視化や顧客理解の深化に加え、新たなサービス創出を推進。「日本発のリテールメディア・データ事業」の成長を加速させるとした。