米ウーバー・テクノロジーズは8月17日、ドローン配送大手のジップラインと戦略的提携を結んだと発表した。ウーバーイーツの配送手段にジップラインの自律型ドローンを組み込み、米国内での配送規模を拡大するのが狙いだ。ウーバーはジップラインへの戦略的出資も行う。

 新たな配送は年内に開始する計画で、まずジップラインがすでに事業展開している市場でウーバーイーツの利用者がドローン配送を選択できるようになる。注文から5〜10分程度での迅速な配達を目指し、その後、数十都市への展開拡大を目指す。両社は2029年末までに、1日当たり100万件のドローン配送を実現する目標を掲げている。

 ジップラインは4大陸で事業を展開し、20秒に1件のペースで配送を行っているとする医療・物流分野のドローン配送最大手だ。10年をかけて構築した国際物流網は5000カ所超の医療機関に対応し、年間1万2000人超の人命維持に貢献しているとしている。自律飛行距離は累計1億3500万マイルを超え、これまでに270万件超・2000万点超の配送実績を持つ。今回の提携により、この技術と実績を米国の一般消費者向け配送に本格投入する形となる。

宅配業者・歩道走行ロボットに続く選択肢に

 ウーバーは、配送員・歩道走行ロボット・ドローンを組み合わせ、注文ごとに最適な配送手段を選べる「世界で最も柔軟なハイブリッド配送網」の構築を掲げており、今回のジップラインとの提携もこの構想に位置づけられる。ウーバーのダラ・コスロシャヒCEOは、「ジップラインが優れた技術を持ち、ウーバーは日々数百万人の消費者と地域の商店をつなぐ基盤を持つとしたうえで、両社の組み合わせによって配送のあり方をより速く持続可能なものに変えていきたい」と述べた。ジップラインのケラー・リナウド・クリフトン共同創業者兼CEOも、「自律配送が日常生活の一部になりつつある」とコメントしている。

 ドローン配送の実用化は米国で長らく実証段階にとどまってきたが、ウーバーという大規模な需要基盤を持つプラットフォームと、医療物流で実績を積んだジップラインが組むことで、消費者向け配送における採算ラインへの到達が現実味を帯びてきたといえる。

 宅配・フードデリバリー各社がラストマイル配送のコスト削減と高速化を模索する中で、ドローンという新たな配送手段を大手プラットフォームが正面から取り込む動きとして同業他社の対応にも注目が集まりそうだ。