夏目漱石の鴨鍋に着想を得た新商品が登場

 歴史上の偉人×だし――。異色のかけ合わせによるヤマキの個性派鍋つゆシリーズが好調だ。坂本龍馬、西郷隆盛、高杉晋作といった歴史上の偉人に着目し、各人にちなんだ料理や食材をテーマに鍋つゆを開発。昨年3品を発売したところ、目標比130%を超えるヒットを記録した。

 「今までにない切り口がフックとなり、商品を手に取ってもらうことにつながった」。和田勉執行役員・家庭用事業部長はヒットの背景をこう分析する。売り場で火がつき、SNSなどでも話題が拡散。「3品全部買いたい」「揃えたい」という普通の鍋つゆにはない購買行動を喚起したことに加え、特に30~50代の比較的若い層の購買が伸長、鍋つゆ市場に新たな風を吹き込んだ。

 これを受け、ヤマキは今年、偉人にまつわる鍋つゆシリーズの第2弾を投入する。8月20日発売の「漱石鍋つゆ 鴨醤油」と「博文鍋つゆ ふぐ塩山椒仕立て」の2品だ。

「漱石鍋つゆ 鴨醤油」「博文鍋つゆ ふぐ塩山椒仕立て」(各700g)

 「漱石鍋つゆ 鴨醤油」は明治の文豪・夏目漱石をモチーフに採用した。漱石が門下生らと囲んだとされる鴨鍋をイメージ。鴨の濃厚なうま味を持つエキスを使用し、まろやかでコクのある醤油味に仕上げた。

 一方の「博文鍋つゆ ふぐ塩山椒仕立て」は初代内閣総理大臣・伊藤博文のふぐにまつわる逸話をヒントにした。明治20年、博文が山口県で食べたふぐ料理を称賛、これをきっかけにふぐの禁食令を解かせたと言われている。本品はふぐのうま味にさわやかな山椒をきかせることで、上品かつ奥行きのある塩味に仕上げた。

 新商品は既存品とのシリーズ展開で、店頭での選ぶ楽しさ、複数の商品を揃えて食べ比べる楽しさを訴求していく。和田執行役員は、「今回の漱石・博文はいずれも1000円札の肖像に採用された。また、昨年発売の高杉晋作と博文は同じ松下村塾で学んだ兄弟分。こうした関連で併せ買いを促したり、食卓で会話が広がる価値とともに売り込みたい」と意気込む。

 また、偉人のふるさとやゆかりの地にあるスーパーなどに対し、売り場づくりを提案する施策も計画中。さらには空港や道の駅といった従来は展開のない販路での販売も予定しているという。ヤマキは独自のコンセプトを際立たせることで売り場で新たな選択肢を提示、新需要の開拓に挑む構えだ。

 一方で、定番鍋つゆの磨き上げも図る。新商品発売と同時にリニューアルするのが、ヤマキの鍋つゆ売り上げナンバーワン商品「豚しゃぶ野菜鍋つゆ かつお」だ。同シリーズは「だしで肉と野菜がおいしくなる」をコンセプトに2012年に発売。つけダレなしでも楽しめるしゃぶしゃぶ鍋つゆとして支持を集めてきた。今年、発売15周年を迎えることからシリーズの核となる商品の改良に乗り出す。

 今回の主な変更点はだし感の強化だ。鰹節粉末と鰹節エキスを使用し、だしの風味を高めることで、素材のおいしさをより引き立てる味わいへと進化させた。また、えび由来原料を不使用とすることで、より幅広い消費者に訴求できる商品へと見直しを図っている。


「豚しゃぶ野菜鍋つゆ かつお」(750g)

 併せてパッケージも刷新した。メインの「かつお」をはじめ、「3種のごま」「はまぐり」「すき焼き仕立て」といった各味種の違いをわかりやすく強調。商品特長も目立たせ、売り場で選びやすいデザインとした。

 鍋料理は簡便でヘルシー、かつ経済的なメニューと言える。ゆえに近年の不安定な消費環境下でも、鍋つゆ市場は堅調に拡大中だ。小売業にとっては購買点数の引き上げが見込めるメニューでもあることから、ヤマキは新商品投入により鍋つゆ市場をもう一段活性化。店舗の売り上げ増に貢献していく構えだ。

レンジで作るだし巻き卵のミニサイズをラインアップ

 もう一つ、今秋冬の一押し商品が、電子レンジ専用調味料「楽チン屋Ⓡ」シリーズの新商品「レンジで作るだし巻き卵の素ミニ」だ。昨年発売した卵3個で作る2~3人前用が目標の3倍を超える販売を上げたことから、新たにミニサイズを投入する。

 既存品は「火を使わない」調理シーンにマッチし消費者に受け入れられた一方、主に単身者や少人数世帯から「もう少し少量で作れるといい」といった意見が寄せられた。「特に多かったのはお弁当にちょこっと入れたいという要望。お弁当作りは毎日のことなので販売ボリュームも見込めるとみて、開発に着手した」と和田執行役員は経緯を語る。

 新商品は卵2個で1~2人前が作れる仕様とした。お弁当の具としての用途のほか、夕食のもう1品、晩酌のアテなど、既存品と使い分けることで食卓の様々なシーンに便利に活用できる。

 作り方は既存品同様、卵を溶いてから袋に入れて混ぜ、電子レンジで加熱するだけ。味の面でも鰹節屋ならではのこだわりを凝縮。卵にたっぷりのだしを含ませる設計とし、家庭では難しい本格的なだし巻き卵を実現した。同品も8月20日から発売予定だ。

「レンジで作るだし巻き卵の素ミニ」

 ヤマキはだしの強みをぶらすことなく、鍋市場では話題性のあるコンセプト商品で需要を掘り起こし。レンジ調理カテゴリーでは個食への対応を深め、今秋冬もシェア拡大に向けて邁進する。