ウォルマートは4月30日、テキサス州サイプレスに米国内初となる新設型「次世代店舗(ストア・オブ・ザ・フューチャー)」として最新のスーパーセンターを開業した。同社にとって4年ぶりの完全な新築スーパーセンターであり、今後数年間で全米150店舗超を新設または改装するという成長戦略の中核を担うものである。

 新設されたサイプレス店は、単なる小売店の枠を超え、利便性・テクノロジー・顧客体験を融合した新たな買い物体験を提供することを目指している。ウォルマート・アメリカの社長兼最高経営責任者(CEO)であるジョン・ファーナー氏は、「これは単なる(新店オープン時の)テープカットではなく、未来への投資であり、地域への貢献、雇用創出である」と語り、地域社会との連携と発展への意欲を強調した。

オムニチャネル体験を徹底的に追及

 刷新されたデザインの店内では、主要カテゴリーの商品を拡充。全館に設置されたQRコードでデジタルツールや追加商品の閲覧が可能となり、実店舗とオンラインを統合した「オムニチャネル体験」が実現されている。

サイプレス・スーパーセンターの主な特長は以下のとおり。

– フルサービスの給油所(8基のポンプで最大16台の同時給油が可能)
– 最新式の薬局(ヘルスサービスルームとドライブスルー窓口を完備)
– 視力センターの刷新とサービス拡大
– ファッション、ベビー、家庭用品、ペット用品の強化売場
– 地元色を活かした食品売場(ヒスパニック向けベーカリー、トルティーヤ製造機、寿司ステーション、ダンキン併設)
– 授乳室やオートケアセンターといった顧客重視の設備
– ウォルマート・アプリ連携によるテレビの壁掛けサービス予約、ギフト登録の拡張、タイヤ交換の予約など
– 多彩な配送選択肢(カーブサイドピックアップ、3時間以内のファストデリバリー、最短30分のエクスプレスデリバリー、宅内配送サービス「インホーム」)
– 全館に導入された電子棚札と刷新されたブランディング

雇用創出など地域経済へ波及

 新店舗は地域経済への波及効果も大きい。開業により300名以上の新規雇用が創出され、入社初日から学費無料の大学進学支援、柔軟な勤務スケジュール、競争力のある有給休暇制度といった福利厚生が提供される。

 また、地元テキサス州のサプライヤーや建設業者、サービス事業者との連携も進み、サイプレスおよびヒューストン広域圏全体に経済効果をもたらすことを企図している。

 今回のサイプレス店の開業は、ウォルマートによる数億ドル規模の全米小売近代化戦略の一環であり、2025年中には以下のスーパーセンターが新たにオープン予定。

– フリスコ(テキサス州)
– メリッサ(テキサス州)
– イーグルマウンテン(ユタ州)
– イーストベイル(カリフォルニア州)

 加えて、「ネイバーフッド・マーケット」と呼ばれる小型業態も以下の都市に登場する。

– タスカルーサ(アラバマ州)
– ミルトン(フロリダ州)
– ペース(フロリダ州)

 さらに、マウンテンビュー(カリフォルニア州)およびイーストウィンザー(ニュージャージー州)の既存店舗は、スーパーセンターに改装される予定だ。