全米小売業協会(NRF)は4月17日、カンター社の調査に基づく「2025年版 世界小売業トップ50社」を発表した。このランキングは2024年の売上高に基づき、世界中の主要な小売業者を順位付けしたものである。

 NRF調査担当エグゼクティブディレクターのマーク・マシューズ氏は、「24年は市場の不確実性が続く中でも消費者支出が高水準を維持し、小売業界は成長を続けた。今年のトップ50は、世界中の消費者の共感を得る多様な企業によって構成されている」と述べた。

 25年版ランキングにおいて、ウォルマートは前年に続き世界最大の小売業者の座を堅持した。その要因として、新たなオンラインマーケットプレイスおよびフルフィルメントモデルへの大規模な投資が挙げられている。

ランキング上位の顔ぶれに変動なし

 トップ10企業は23年、24年版から大きな変動はなかった。アマゾンが世界第2位を維持し、以下、シュワルツ・グループ(リドルの親会社)、アルディ、コストコ・ホールセール、アホールド・デレーズ、カルフール、セブン&アイ・ホールディングス、イケア、ホームデポと続く結果となった。

順位 社名

売上高(10億ドル)

店舗数

ポイント

1

ウォルマート

アメリカ

676

10,692

502

2

アマゾン

アメリカ

393

605

376

3

シュワルツ・グループ

ドイツ

182

14,244

279

4

アルディ

ドイツ

155

13,877

252

5

コストコ

アメリカ

246

890

218

6

アホールド・デレーズ

オランダ

99

8111

164

7

カルフール

フランス

98

14,961

142

8

セブン&アイ

日本

90

41,128

100

9

イケア

オランダ

51

489

99

10

ホーム・デポ

アメリカ

155

2,347

92

 カンター社グローバルインサイト&テクノロジー部門上級副社長のデイビッド・マルコット氏は、「今年のトップ50リストは、市場の不確実性が安定した1年を反映している」と分析している。

 マルコット氏によれば、世界中の小売業者は24年に合併や買収、インフラ投資を積極的に行った。また、電子商取引(EC)売り上げは減速傾向にあり、多くの買い物客が再び実店舗やショッピングセンターに戻る動きが見られたという。さらに、サプライチェーンコストは緩和し、多くの国々で賃金も引き続き上昇したと述べている。

 ランキング作成にあたって、カンター社は独自のポイントシステムを採用している。国内外の小売売上高に基づき各企業にスコアを付与しているが、ランキングの対象となるためには、最低でも3カ国以上に直接投資していることが条件となる。

 NRFの発表によれば、今回のランキングは世界的な小売業の潮流を示すものであり、特にコロナ禍後の消費動向の変化や、企業の事業構造改革、グローバル展開の進展を如実に反映しているという。